ノルウェーでは「代理母」による出産は違法です。
しかし、当局によれば、外国で代理母による出産をしたノルウェー人のケースは15件。実際はもっと多いのでは・・・とみられています。
Aftenposten紙に、代理母による出産を選んだノルウェー人男性の特集が組まれていたので、ご紹介いたしましょう(Aftenposten、2010年10月23日)。
Joさんは48歳。職業は、児童精神科医で未婚です。
彼は、インドで代理母を見つけ、無事に双子の赤ちゃんを得ました。
「母親がいなくても、私が子どもと密接にコンタクトを取り、母親や女性の役割も果たしていこうと思います。多くのシングルペアレンツが、そうしているように。」
現在、Joさんはpappaperm(父親の育児休暇)を取得中で、スペインに両親と赤ちゃんたちと共に来ています。
ここに来るまでは長いプロセスがありました。
代理母の試みは2回やりましたが、失敗。昨年の10月、ついに成功に至ったのです。
Joさんの両親は、手放しに息子の代理母計画を喜べませんでした。
「息子が騙されるのでは、と懐疑的になっていました。」
しかし現在では、Joさんに育児についてアドバイスを行うなど積極的にバックアップしています。
記者はJoさんに尋ねます。
-あなたは魅力的な男性で、職業も申し分ない。なのに、なぜノルウェーで女性を見つけ、通常の方法で子どもを得られなかったのですか?
「私は関係を持った女性が何人かいました。そのうちの一人とは真剣な交際でしたが、彼女にはすでに大きな子どもがいて、さらに子どもを産むことは現実的ではありませんでした。月日は流れ、適当な女性が見つからなかったのです。
さらに、両親の離婚によって子どもがどんな過程をたどるのか、たくさん見てきました。私はおそらく、ナイーブすぎて二人の成人男女の恋愛を信じられなくなってしまったのです。
そして私も年を取り、急がないとと思ったのです。
私にとって、子どもを持つことはとても意味のあることです。家族の中に身をおくこと、自分の家族を築きたかったのです。」
-あなたの方法は、エゴだとは思いませんか?
「通常の方法に比べて、代理母を選ぶことがエゴだとは思いません。全ての望まれて産まれた子どもは、エゴな理由によって、この世にもたらされたのです。」
こうしたJoさんの「代理母出産」については、当然、ノルウェー国内では反発の声があります。
小児科医で医師会の倫理委員会のMarkestadは、「こうやって子どもを買うことを容認していいのですか?」と疑問を投げかけます。
また男女平等・社会省は、「代理母出産」はノルウェーの法律に背いており、ノルウェーでは認められないと確認しています。
今回、Joさんは実名と写真を出して取材に答えています。
おそらく、「グレーゾーン」になっている「代理母出産」について議論の一石を投じたいのでは・・・と想像いたしました。
今後の議論の行方に注目したいです。
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