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ジャンルを問わず、ノルウェーの新聞などから、
面白い・興味深いニュースを紹介するページです。
この度、日記風にリニューアルしました。
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2010年1月20日(水)
お父さん、危機です!

ノルウェーの「父親休暇」といえば、その先進的かつユニークな制度で知られています。

就労していた女性が出産する場合、52週の休暇で80%の賃金、42週の休暇で100%の賃金保証がされています。そのうち、父親も育児に参加するため、現在では10週の休暇が父親に付帯され、この権利を母親に譲ることはできないので、高い休暇取得率につながっています。

ということで、少子化に悩む国からは、「すばらしい制度!」と誉められることが多いのですが、保守党(H)の女性議員団から、この「父親休暇」に疑問符が投げられたことが、Dagsavisen紙で報道されています(2010年1月19日)。

先週末、保守党の女性議員団は、「父親休暇の義務化を撤廃し、育児休暇の取得については、母親と父親の自由に任せるよう」法制度を変えるように採決しました。
「時はすでに、家族自身が決定できるよう熟しています。ノルウェーの父親たちは、政治家たちが介入することなしに、自分の子どもたちと過ごす大切さが分かっているでしょう。父親の育児休暇義務化は、20年前には必要でしたが、今はもう賞味期限切れです。」と、保守党の女性議員団のメンバーで国会議員のLinda C.Hofstad Hellelandは語ります。

この保守党の見解について、賛成しているのは、やっぱりというかFrP(進歩党)です。
他の政党は反対で、労働党の子ども・男女平等大臣のAudun Lysbakkenは、保守党の提案に驚きを隠せません。
「保守党の提案の結果は、多くの父親が子どもたちと家で過ごす機会を失ってしまい、私は男女平等が逆戻りしてしまうことを恐れています。」
Lysbakken大臣は、現実のビジネス社会は、父親休暇取得にそれほど適していないと感じており、休暇取得の義務化がない限り、多くの父親は休暇が取れず、母親も仕事に復帰する機会が減ってしまう、と悲観的です。

全国労働組合のLOもまた、保守党からの提案に反対を示しています。
「全ての労働環境や会社が、父親休暇取得を当然だと思っていません。保守党の女性たちが、時代を戻したいと願っていることに驚きを覚えます。現行の制度で、多くの子どもたちは、より多くの時間を自分のお父さんと過ごすことが可能になったのです。」

「家族の自由」と保守党の女性たちは、主張しています。
この「自由」は制度の縛りがなくても、実現が可能なのか、今後の議論の行方に注目したいですね。

家族の肖像

2010年1月15日(金)
スカンディナビアで1つの言葉に?

関係ありませんが、ほとんど記事を引用させてもらっているAftenposten紙は今年で150年を迎えるようです。もともとはデンマーク人がスタートした新聞ですよね。これからも、「ノルウェーで一番のクオリティーペーパー」を維持してください♪

小さい記事ですが、1月9日号に気になる見出しがありました。
「スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語が1つの言葉に?」です。
内容を紹介しますと、保守党(H)の国会議員Olemic Thommesenが、「スカンディナビアを共通の言語にしないか?」というテーマを国会で取り上げたそうです。

確かに、3つの言葉は似ていますが、どうしてこんなテーマを取り上げたのでしょうか?
「産業的なメリットと文化的なメリットがあります。たった460万人の人々(ノルウェーの人口)が話す言葉より、2500万人の人々(スカンディナビア全体)が話す言葉の方が、影響力は増すでしょう。」
ということで、主にビジネスチャンスとして、共通の言葉を目指しているのが分かりました。

でも、ノルウェー国内でも、ブークモールとニーノシュクという2つの公用語があるややこしい現状で、Thommesen氏の夢は可能なのでしょうか?
彼自身、すぐに現実的になるとは思っていないようで、「ユーレニッセ(クリスマスサンタ)を信じるようなもの」と自嘲気味に語っています。

私としては、これからまたデンマーク語やスウェーデン語の勉強は、しんどいので、実現するのならば死んだ後にお願いしたいと思います。
これに、フィンランド語が入ったら確実に早死にしますね。

僕、何語でしゃべればいいの?

2010年1月11日(月)
新年の4つのお題


今年初めのAftenposten紙は1月2日(土)発行のものが届きました。
日本のお正月みたいに、「未来はこうなる」を占う企画物が目に付きます。

選ばれたのは、以下の4つの質問です。

  • 将来、あなたはもっと健康的になっていますか?
  • 将来、もっとネットとつながった生活を送りますか?
  • たくさんの外国語を勉強しようと思っていますか?
  • e-bokが台頭したら、本棚を撤去しますか?
最初の質問について、質問された5人が「Ja」と答えています。統計を見ても、「最低週1回はトレーニングをしている」と答えた16歳以上のノルウェー人は73パーセント。高いですよね!とりわけ、ジョギングやマシントレーニングをやっている人が増えています。
運動だけでもなく「健康的な食生活」=野菜や果物の摂取も、ここ25年で増加しているとのこと。確かにスーパーで売られている野菜や果物の種類は増えましたよね~。

2番目の質問は、意外なことに質問された5人中4人が、「Nei」と答えています。
ノルウェー人が大好きなFacebookユーザーは実に2百万(人口480万の国ですよ!)なので、「ネット依存」のイメージがあったのですが、「実際に友達と会うほうが多いし、楽しい」と答える人が目立ちました。

3番目の質問は、「ノルウェー語を話し、英語を磨き、日本語を習う」と大見出しがあったので、「なぜに日本語?」と驚きました。
識者曰く、ノルウェー人にとって英語はマストアイテムであり、他にもっとエキゾチックな外国語(中国語や日本語など)に挑戦してみたら良いのでは?という提案がありました。
統計によると、留学しているノルウェー人は増加傾向にあり、1960年と比べて5倍増だそうです。日本に来る留学生も増えてますよね。
ただ記事中にやはり意外、と感じたのは、私からすればノルウェー人は「相当、英語ができる」というイメージなのに、当事者は「まだまだ」と思っている人が多いことでしょうか。お願いです、これ以上、上手くならないで下さい。こちらはノルウェー語だけで音を上げているのですから!

で、最後の質問ですが、これも質問された5人中、「Ja」と答えた人は誰もいませんでした。みんな「e-bokよりも、紙の本に愛着がある」で、「本棚は絶対、必要!」と答えています。
うん、これ納得。だってノルウェー人のお宅を訪問すると、たいてい、IKEAの大きな本棚がリビングに鎮座しているじゃないですか。
ただ皆さん、本棚には愛着があってもCDラックは「減ってきた」と答えています。iPodの趨勢はノルウェーでも同じですね。

さて私、今年はいくつ、記事が更新できるでしょうか?
ひとえに、「気まぐれさ」にかかっています。
お付き合いのほど、お願い申し上げます。
みんな、将来のこと考えていますか??

2009年12月27日(日)
おそらく今年最後の更新です

今日は日曜日なのに、郵便ポストにノルウェーから購読しているAftenposten紙が届いていました。郵便局の人は年末、お休みがないのでしょうか?お疲れさまです!

ざっくり一読しました。
目に付いた記事といえば、Aftenpostenの経営母体とはライバル関係にあるDagbladet紙の経営危機でしょうか。正確にいえば、Dagbladetのライバルは、「ノルウェーのサン紙」とも「ノルウェーの東スポ」とも呼ばれるVG紙ですが、同紙はAftenpostenと同じSchibsted社が発行しています。
日本で言えば、朝日と東スポを同じ会社が発行しているようなもの、とイメージしてください(あくまでも「イメージ」です!)。

2009年12月19日付、Aftenposten紙によると、今年2009年はDagbladetにとって最悪の年だったそうです。売上減と経費削減で、同紙のダメージは相当大きかったとのこと。まあ、世界的に新聞業界は厳しいかと思いますが、Dagbladetの敗因は・・・。「中途半端」なところでしょうか。
タブロイド系でありながら文化的な香りを残そうと虚しい努力をし、VGほど下品に徹し切れなかったよね、と極東から同情の念を送ります。
で、ちゃんとしたメディア専門家の予言が載っていまして、Dagbladetは週末だけしか紙媒体で販売できない新聞になってしまうのでは・・・というものでした。そうすることで、スタッフを大幅に削減できるとのこと。
もしこの予言が当たってしまうと、ますます巨大メディア企業のSchibstedが有利になりますね。VGのお下品さも、ますます磨きがかかる?いいのか、文化国家ノルウェー??

で、今日のウェブ版のAftenpostenにもざっくり目を通しました。
11月13日の本欄でも、国営放送NRKと国語審議会について取り上げましたが、今回も似たようなケースです。
来年「2010」年は、ノルウェー語では何と発音するでしょう?それが、結構、大きな問題だったみたいですね。
答えは、2000(totusen)と(og)10(ti)です。これがNRKで採用される表現法と決定されました。

なぜ、これが問題になるかというと、例えば1999年などは19(nitten)、99(nittini)と、2桁づつ区切って発音します。ゆえに、2010年も20(tjue)、10(ti)と発音したい人もいるから、ちょっとした論争になったようです。

ただし国語審議会のLomheim氏によると、「totusenogtiという言い方は、NRKでは採用されますが、民放テレビやラジオ、それに国民の誰もがtjuetiの言い方をするのは自由です」とのこと。
出た、「選択の自由!」(またの名を「責任放棄・・・」)
拙著「ノルウェー語のしくみ」でも、ノルウェー語に多すぎる「選択の自由」を取り上げていますので、ご興味のある方はお手にとってご覧下さい。

そっか~、来年はtotutenogti(2010)。
夢ネットをスタートして10年目ですね。
誰も祝ってくれなさそうなので、Yoko管理人と労をねぎらい合いたいと思います。
あ、もちろん、お祝いなんて滅相もございません。
お側に置いて、読んでいただけるだけで十分ですので、今後ともご愛顧をお願いいたします。

VGとDagbladetが仲良く並ぶ図

2009年12月23日(水)
Jul(クリスマス)にまつわるエトセトラ

「地球温暖化」が叫ばれている昨今でも、みんなの憧れは「ホワイトクリスマス」(Hvit Jul)。
今年のノルウェーは、全国的にホワイトクリスマスになる見込みだとAftenposten紙は報道しています(2009年12月22日)。

イブ前日の23日、そして24日は、南ノルウェーで最も多い積雪量が予想されています。
24日のクリスマスイブに晴天が見込まれるのは、ノルウェー中部のトロンデラーグ地方(Trøndelag)、西ノルウェーのモーレ&ロムスダール地方(Møre og Romsdal)、そして北のノールラン地方(Nordland)。
さらに北のトロムス(Troms)とフィンマルク(Finnmark)では、23日と24日に厳しい寒さと荒天が予想されます。
ノルウェーでクリスマスを迎える方々は、くれぐれも凍結した道ですっころばないようお気をつけ下さい。 By 老婆心

話題は変わって、ノルウェーのサンタことNisse(ニッセ)は、普段、納屋に住んでいて、きちんと扱わないと、悪さをするという民間信仰があります。
クリスマスには、ニッセのためにクリスマスのポリッジ(julegrøt)をお供えする習慣があるそうなんですね。
で、23日付けのAftenposten紙には、「35万人のノルウェー人がクリスマスのポリッジをニッセに用意する」と書いてありました。調査会社のSynovateが調査を行ったようです。

ほとんどのノルウェー人が24日に用意しますが、23日の段階で用意する人もいるそうです。
北ノルウェーの人々は、ニッセのことを考えてあげて、25パーセントの人が少なくとも2年に1回は、ニッセにポリッジを用意すると答えているようです。
一方、オスロの9割の人が「ニッセにポリッジを用意したことなんてない」と冷淡なお答えだったそうです! 地域差があって面白いですね。

よーく眼を凝らせばニッセが見えます

2009年11月20日(金)
2011年、世界経済危機から一番早く脱却する国は・・・


ずぱり「ノルウェー」だそうです。という記事が、Aftenposten紙(2009年11月20日)に載っていました。
経済オンチの私がご紹介していいのか分かりませんが、ボロが出ないくらい短くまとめました。

OECDの発表した「加盟27カ国の経済予想」は2017年までの動向について、まとめてあるそうです。それによると、2年後の2011年、ノルウェーが世界経済から一番早く脱却するとのこと。
それらの根拠として、

  • 最も低い失業率(2009年)・・・ノルウェー3.3% ちなみに日本は5.2%
  • 個人消費の順調な回復・・・2010年、11年と力強い成長を見せる
  • 経済の効率性が良好・・・2017年までにノルウェーを上回るのはポーランドのみ
  • 高い経済成長・・・2017年までにノルウェーを上回るのは、幾つかの東欧諸国とルクセンブルクのみ
を挙げています。

隣国のスウェーデンとノルウェーも明暗が分かれていて、スウェーデンの失業率は2010年、11年と10%を超えるとか。(その割に、海外でノルウェーより断然、いい意味で目立っているスウェーデン・・・。)

トコロデ。
こんなにノルウェー、儲かっているのに、なぜ、ノルウェー語を生業に選んだ私は、貧窮にあえいでいるんでしょう?おこぼれ下さ~い!
天然記念物トキのように保護してくれればいいのに・・・。と思わず、ため息をもらす筆者でありました。

世界一、ビニール袋が好きな人たち?

2009年11月13日(金)
ノルウェー語が乱れてる?~お年寄りは愚痴りたい!~


「最近の日本語の乱れは嘆かわしい・・・」といったフレーズは大昔から語り継がれたもので、いわば「無形文化財」のようなものと思います。
所変われば何とやらと申しますが、ノルウェーでも同じような繰言をおっしゃる方々がいらっしゃる記事を、ノルウェーからわざわざ友達が送ってくれました。

まず口火を切ったのは、ノルウェー語界の重鎮にして保守的(=ガンコ)な主張で知られるFinn-Erik Vinje教授。「NRK(ノルウェー国営放送)のニュースキャスターの発音が最近、とみに乱れとる。方言なんか許しません。ちゃんと正しい標準ノルウェー話し言葉を使いなさい」といった主旨の「御言葉」を、Aftenposten紙に寄稿しました(2009年10月28日)。

同教授は、23年間もNRKの言語コンサルタントという地位にいて、いわば番犬のような役割を果たしてきましたが、同職を引退後、「なっとらん!」状況になったとお嘆きのご様子です。
以下、同30日の記事から抜粋しますと、
「NRKには規則があるのにも関わらず、守っていない。彼らは標準語の存在を無視しています」
「NRKの影響力は大きいです。
私は、ノルウェー語を習いたい移民や外国人にこう言います。NRKのニュースを聴きなさい、そうすれば正しいノルウェー語が学べますよ、と。」(それなのに現在の惨状は・・・・とお嘆きのご様子)。
国語審議会の会長、Sylfest Lomheim氏もVinje教授の抗議に同調する姿勢を見せています。

こうした「嘆かわしい」言説に反論するのが、現在、NRKの言語コンサルタント職にいるRuth Vatvedt Fjeld教授です。彼女は、「そもそも正しい標準ノルウェー話し言葉なんて存在しない」と、ばっさり切り捨てます。私も、賛成!そんなもん、ありましたっけ?

「Vinje氏は、視聴者が混乱すると言っていますが、どうやってそんなことが彼に分かるのでしょう?調査でもしたのでしょうか?私たちは、視聴者調査によって、7割の人々が、ニュースで方言が使われることに問題なし、8割の人々が地方放送で問題なし、という結果を得ました。」

NRKの言葉の規則が2007年以降、緩和されたのは、Fjeld教授によると、「トレンドによる結果」だそうです。
「民放のTV2で、気象予報士の女性たちが、自分たちの方言を使ったのが新鮮で、好意的に受け入れられたことが背景にある。」とのこと。はい、あの人たち、バリバリの方言で話していますよね~。

11月になっても、この議論は続いている様子です。
みんな、「待ってました!」とばかり、激論を戦わしている様子が、びんびん伝わってきます。
いや~これぞノルウェー。ノルウェー語の状況をどんどん複雑に、外国人を惑わしてください、と遠く極東の果てから、マゾヒティックな気持ちで皆さまたちにエールを送らせていただきます。


みんなどんな言葉、話している?

2009年11月9日(月)
ノルウェーところどころ~若者は暴れたい!~


ノルウェーは、国民の人口に比して、発行される新聞数が多いことで知られます。

いつもは、全国紙の記事ばかりを紹介していますが、たまにはローカル紙から心あたたまるほっこりしたニュースをご紹介したい・・・と純粋な気持ちからネットで幾つか検索しました。

Men(しかし)・・・。交番にお金を届けた奇特な人がいるとか、羊がのびのび牧草を食べているハートウォーミングな記事は見つけることができませんでした。
その代わりに、Stavanger(スタヴァンゲル
)では、タクシー内で女性が暴行される事件が頻発していて、「女性は一人でタクシーに乗らないように」といった警察からの呼びかけがあったり、何だか物騒です。
あと目に付いたのは、週末にかけて、「若者同士のけんか騒ぎ」といった記事でした。

南ノルウェーの地方紙Fædrelandsvennen(=父なる国の友?)には、Kristiansand(クリスチャンサン)のAndøya(アン島)の一軒家で、土曜日の夜、若者同士の騒ぎがあったことを伝えています(2009年11月7日)。
警察発表によると、50人~100人の若者がいたそうで(ずいぶん幅がありますね)。
何でも、10代の若者が女の子にビール瓶を投げつけたのが、けんか騒ぎの発端で、18歳の男の子が重傷を負い、救急車で運ばれたそうです。

もう1つはベルゲンを代表する新聞、Bergens Tidende(=ベルゲンニュース)から。やはり週末の土曜日夜、若者同士のけんか騒ぎがあったそうです(2009年11月8日)。Ytrebygdaという村の一軒家に、約150人の若者が集まり(そんなことが可能?)、通報を受けた警察が駆けつけると、数人同士でけんかが行われており、4人の男の子が拘束されました。みんな18歳以下だったそうです。

2つの事件に共通するのは、田舎の一軒家に、ぎゅーぎゅー状態で若い子たちが集まり、おそらく酒が入っていて・・・ということでしょうか。
きっと近所に娯楽もなく、溜まったエネルギーが爆発したのかしら?と老婆心ながら、極東の果てから、心より同情を申し上げたいと存じます。

山手線にノルウェー人がいっぱい・・・

2009年10月2日(金)
仕事中毒、または働きすぎの人増えています


9月26日付アフテンポステン紙は、なぜか知りませんが「arbeidsnarkoman」=仕事中毒者の特集記事が幾つか載っていました。
ノルウェー人=休暇のことばっかり考えていて、働く時間は最小限に抑える、というあのみんなが知っているイメージには、当てはまらない人が、どうやら存在しているようです。

まず専門家のコメントからご紹介しましょう。
心理学者のCecilie Schou Andreassenさんは、自分の父親が「クリスマスイブでも働いていた」筋金入りの仕事中毒者だったため、これを自身の研究テーマにされたそうです。
彼女によると、一口に仕事中毒者といっても2つのタイプに分かれます。
「第一のグループは、働く喜びとモチベーションにあふれている人たち。働くことが楽しく、競争に打ち勝つため、野心とチャレンジ精神を抱いています。時間が足りないのは、多くのことをしようとするからです。
一方、第二のグループは、同じように時間が足りていない人たちですが、それは仕事の場でNei(=No)と言えず、スマイルしながら引き受けてしまうタイプ。ストレスやフラストレーションをため込んでいます。」

日本語的には、第二のグループは仕事中毒者というより、「仕事犠牲者」とでも命名しましょうか。
Cecilieさん曰く、「仕事中毒者は増えている」。え?ノルウェーでですか?と驚いていると、2面を割いて、「典型的な仕事中毒者」さんを紹介するレポートが掲載されているのを発見。
こちらもご紹介しましょう。見出しは「週に60時間以上働き、携帯はOFFにすることはない」。

不動産会社の役員、Miguelさんは5児の父親(前妻との子どもを含む)であり、そして仕事が「「好き」なんて言葉では足りず、仕事に「恋している」状態であるとか。
携帯電話は常にONの状態で、1日中鳴りっ放し。でもその状態が彼にとっては、落ち着くのです。土日も不動産の内覧でふさがり、夕食を家で食べることはほとんどありません。
家のことはほぼ妻に任せており、Miguelさんがする唯一の家事は、子どものためにMatpakke(=オーブンサンドイッチのお弁当)を作ってあげること。

「1日は30時間もない、たったの24時間なんだ。時間をできるだけ節約して、出来る限り働くようにするんだ。自分で洗車なんかしないよ。シャツのアイロンがけもしない。そういうことは他人にやってもらうんだ。」
と熱弁をふるうMiguelさんに、記者は愚問を発します。
ー誰が、あなたの服を買うんですか?
「僕はHugo Bossの200枚のシャツと50足の靴、スーツをそろえている。品質がよければ、長持ちするからね。」
ひえ~、オスロ大学で教わった先生は、ほぼ2着しか服を持っていなかったような・・・。比較になりませんね。

レポートを通して笑えたのは、Miguel氏をあたかも「珍獣」扱いしていることでしょうか。
家事をほとんどしない、家で食事もしない、休暇も週末も仕事の電話を嬉々として取っているなど、普通のノルウェー人からすれば、「信じられない!」というのが一般的な反応だと思います。
でも日本では、こういうタイプの人、そんなに珍しくないような・・・。少なくとも、大手全国紙の2面を飾るほどの希少価値はないと思うのですが、いかがでしょう?

全然満員でない地下鉄

2009年9月24日(木)
ABCはなんて読む?


ノルウェーでは、小学校2年から英語の授業がスタートします。

でももっと早い時期から、子どもを「インターナショナル」な環境におきたい、と願う両親が増えている記事を見つけましたので、ご紹介しましょう。(Aftenposten紙、2009年9月19日)

例えば、ノルウェーに親の駐在などで移住した子どもが「インターナショナル保育園」に通うというのは分かりますが、両親ともにノルウェー人の子どもが、英語やスペイン語、ドイツ語の保育園に通わせる傾向が増えているそうです。
もちろんこうしたトレンドは、海外の影響から。ハリウッドセレブが自分の子どもをバイリンガルに育てた、といったニュースに、インスパイアされた親もいるでしょう。

さて当の子どもたちは、どうでしょうか。英語の保育園に通っている園児は、「ママとは英語では話さないけど、保育園では英語で話しているよ」とコメント。すごい、ちゃんと言葉を使い分けているのですね。

ただ、よくこういう言説を耳にしますよね。子どもに複数の言語を習わせると混乱し、発達をさまたげる、と。これは現在のノルウェーでは否定されているそうです。
オスロ大学言語学科のElizabeth Lanza教授は太鼓判を押します。「子どもは、私たちが思っているより、もっと才能があって賢いのです。」
教授は、バイリンガルについて博士論文を書いており、脳には複数の言語に耐えうるスペースがあり、子どもは早いうちから、それぞれの言語の区別ができるそうです。だから、保育園では「thank you」と言い、家では「takk」と使い分けられるのですね。
(筆者は、英語を話さないといけない時、ノルウェー語が混ざってしまいますが、それは年をくってから学習を始めたからでしょう・・・・。嗚呼)

「子どもをバイリンガルに!」と望む親に国境はないことがよく分かりました。

ほら、英語で泣きなさい!
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