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2009年9月10日(木)
たとえ男女平等先進国であっても・・・


子育てをしながらフルタイムで女性が働くのは難しい、というショッキングな記事を読みましたので内容をご紹介します(Aftenposten紙2009年9月5日)。


まずノルウェーの統計からご紹介しましょう。

  • 特殊合計出生率・・・1.96人(1975年以来最高の数字)
  • 就労率・・・男性:86.3パーセント、女性:79.2パーセント
  • パートタイム労働・・・女性:41.8パーセント、男性:13.2パーセント
  • 労働時間・・・男性37.5時間、女性30.8時間(1週間あたり)
  • 病気休暇取得率・・・女性:7.5パーセント、男性4.7パーセント(30-34歳までの女性の取得率が8.6パーセントと一番高い)
この統計で分かるのですが、女性のパートタイム労働率は高いです。
こうした実態が、引いては男女の賃金格差を生み、将来の年金受給額に影響を与えるので、よく「女性もフルタイムで働けるようにしよう」というのが、女性団体のみならず政治的にも合意されたスローガンです。(ただし日本のパートと比較してノルウェーのパートタイム労働はただ単に労働時間が短いだけで、その他の条件はフルタイム労働者とそれほど遜色はありません)

とここまで、この記事の背景についてご説明してきました。
こうした現状に一石を投じたのが、スウェーデンの研究者の調査でした。ストックホルムのKarolinska InstitutetのBirgitta Floderus教授はこう語ります。
「私たちは、女性が働いて子どもを持つことができると強く信じてきました。ですが同時に、それが良くないことだと分かったのです。今、初めて統計的な数字で確信することができました。」
このテーマを取上げることは、「女性はできる」という思想を裏切ることになることになるので、難しかったとか。「こんなことを大声で言うと、性別役割分業が逆戻りになりかねませんから。」

6500人の女性を調査したところ、仕事や勉強と子育てを両立している女性は、子どものいない女性よりもより疲労の度合いがかなり高く、健康状態も悪いことが確認されました。罹患率と死亡率も高くなるということです。
とりわけ、フルタイムで働いている女性の疲労度合いが最も高く、ストレスのレベルは子どもの数とともに増え、収入の増加と共に増えているとか。驚くべきことに、子どもが大きくなってもストレスは減らないそうです。
(この辺の調査結果は、最近、日本で流行の勝間和代さんの言説とは真逆ですね。)

あと教授の研究調査には男性は含まれていません。もちろん父親も家事を頑張っていることは知っていますが、「でもいまだに女性が家事の多くを担っているから。」

今までネガティブなことを書き連ねましたが、もちろん子育てと仕事をすることに良い面もあります。「親であることと仕事を持てることは、大きな喜びです。問題は、時間の欠如ですね。」

同記事には、疲れているお母さんのインタビューが幾つか載っています。皆さん、「疲れた〜」とおっしゃっていますが、ただなぜか子どもが4人もいる女性のインタビューが多いので、そりゃそうでしょうね、と納得です。
皆さん、十分に家事や育児をやってくれる夫をお持ちですが、それでも病気休暇を取ったりなどお疲れのご様子。
南ノルウェーのアグデル大学のUlla-Britt Lilleaas教授は、「国民の健康への脅威です。」と強い言葉で警告します。

同教授もスウェーデンの調査結果と同じように、ノルウェーでの研究でも同じような感触を得ています。「私たちは自分たちが考えるほど、それほど男女平等ではなくて、ステレオタイプな性別役割分業が生き残っているのです。」

世界でトップの「男女平等の国」でそうならば、全然遅れている日本はどうなっちゃうのでしょう?
家事と育児を完璧に一人でこなし、フルタイムできっちり働く日本女性は存在しますよね。
私のような怠惰な人間からすれば、「驚異的な」女性たち。
さぞやお疲れのことと拝察いたします。

今度は男性を対象にした調査や意見を読んでみたいです。
「女性にとって生きやすい世界は、男性にとっても生きやすい。」という言葉を、「男女平等の本」の著者、アウド・ランボーさんは教えてくれました。
私もそう思います。

パパだって頑張っているけど。。。

2009年9月4日(金)
スウェーデン人にはノルウェー語が難しい?


ノルウェーの方が好景気なこともあって、スウェーデンから移民が増えていることは、何度か記事で読んだり、話を聞いていました。確かに、オスロのカフェのウェーターやウェイトレスはスウェーデン人が多い!というのが、短期間滞在した私でもすぐに気づくほどです。

ノルウェー語とスウェーデン語は似ているから、そんなに簡単に移住ができていいな〜と羨ましい思いをしていましたが、実際はちょっと違うようです。
新聞記事によると、ノルウェー語が難しい、と苦労しているスウェーデン人が意外といるとか。(Aftenposten紙2009年9月4日)内容をご紹介しましょう。

最近ストックホルムからオスロに移住してきた
19歳の女の子2人は、「ノルウェー語の全てが混乱しちゃう」とコメントしています。彼女はノルウェーの新聞を読もうとしましたが、全然わからなかったとか。2人は、スウェーデン人が働いているクラブで働いていますが、お客のノルウェー人は彼女たちのスウェーデン語が分かるそうです。

統計を見てみると、6ヶ月以下の在オスロ・スウェーデン人短期滞在者は2007年に比べて3割増。その中には、ノルウェー語教室にやってくるスウェーデン人もいるそうです。日本人から見れば必要なさそうですけどね〜。
でもスウェーデン人受講者の一人は、「私が思っていたより、言葉の違いは大きかった。私がノルウェー語を書こうとすると、間違いばかり。」と意外なコメントを寄せています。普通のノルウェー人が間違いだらけのニーノシュクを書くようなものですかね。

著名な言語学者フィン・エリック・ヴィンェFinn-Erik Vinjeによると、スウェーデン人の移民は、強制的にノルウェー語教室に送るべきだと主張しています。こわ!
「ノルウェー人は、スウェーデンの映画やテレビ、アーティストの洗礼を受けているのに、ノルウェーからスウェーデンへの輸出はない。」
たしかに、おっしゃる通りです。
本屋にはたくさんのスウェーデンミステリー、スウェーデンのテレビの方をたくさん見ているノルウェー人多いです。でもその逆はないんですね。かなし!

ノルウェー語には、スウェーデン語からの外来語がたくさん入って、スウェーデン語が理解できるのに、その逆はない実態が今の状況を生んでいるのでしょう。

前述のスウェーデン人の女の子2人はノルウェー語講座に通うことを考えているようですが、「でも、最後までついていけるかわかんない」とのこと。
甘えるな〜!!
日本人だってがんばっているんだぞ〜!!
と珍しく、「吼える」スタイルで締めてみました。

オスロの書店で見つけたノルウェー語・日本語辞典

2009年8月14日(金)
東京でノルウェー気分を


日本には「ノルウェー的なものが少ない!」とお嘆きの貴方、同士は確実にいます。
そんな中、ノルウェー大使館のHPに、ノルウェーからの輸入食材を扱ったショップがオープンした、というニュースが掲載され、同士間であっという間に共有されました。場所は、九段。行くしかありませんね。

私はノルウェー語の生徒さんと市ヶ谷駅から行ったのですが、5分くらいでしょうか。目指すお店「KornBord」(コルンボード)がありました♪
私たちのお目当てはランチプレート。ノルウェーや他の北欧諸国、ドイツやスイスからの輸入食材や雑貨物に囲まれたテーブルは、トロールが上から見下ろしていたり、不思議な感覚でした。
お店の方も気さくに、会話に応じてくださって、共通の知っている北欧系のお店や、またノルウェー人と商売をされる上でのご苦労(何となく想像がつきますよね?)などいろいろとお話をさせていただきました。

さていよいよ、スープが来ました。セロリの味がするさっぱりとしたものです。そしてランチプレート。ノルウェー産のエビがはいったサラダ、スモークサーモン、チーズやクネッケブロー(硬いクラッカー)、黒パンなど彩り華やかです。
サービスで、Aass(オース)ビールもいただきました。オースビールはドランメン地方の地ビールですよね。すっかり昼からご機嫌ムードです。
食後に紅茶・珈琲もついて1000円。とてもお値打ちなランチでした。

食後は、ショップ探索です。私は、トマトソースとあわせたサバ缶があって狂喜乱舞☆大好きです。他にビールやレバーペースト、ビスケットを買いました。
大きいトロール人形を買うには、まだ若輩の身。老後に買う楽しみとして取っておきたいと思います。

お店の方のご好意で、夢ネット主催のノルウェー語教室やサロンのチラシを置かせていただきました。もしお店に立ち寄られる方がいらっしゃったら、ぜひご笑覧ください。

決して多くない北欧系、中でもノルウェーのお店。ぜひぜひ、今後とも末永く発展されますよう心よりお祈り申し上げます。
まずはみなさん、足を運びましょうね!

戦利品!

2009年8月3日(月)
「ホルテンさん」アメリカで善戦しています


今年のはじめ、東京でノルウェー映画「ホルテンさんのはじめての冒険」
が公開され、意外と言っては失礼ですが、かなりのロングランを記録したことは、記憶に新しいところです。
本編は、映画の本場、アメリカでも上映10週目に入ったそうですが、結果はどうでしょうか?

人口が圧倒的に違うので何ともいえない気もしますが、ノルウェーよりアメリカの観客動員数の方が多かったそうです(Aftenposten紙、2009年8月2日)。

監督のベント・ハーメルは語ります。
「ノルウェーでの観客動員数には、がっかりしていていたんだ。だからアメリカでの数は、喜ばしいね」。ちなみに映画は、40カ国で売れたそうです。すごい!あんな地味映画なのに・・・。
さらに監督は、ノルウェー映画がアメリカで上映にこぎつける難しさを語ります。
「ぼくらの映画は、配給がとても限られている。会話はノルウェー語だから、英語の会話を望むアメリカの観客にとっては、ひとつのボーダーだよね。」

アメリカ映画と対極にあるような「ホルテンさん」ですが、日本のようにロングランを目指してください♪

オスロの映画館です

2009年7月27日(月)
スウェーデンにようこそ!


スウェーデン発のリーズナブルなショップはIKEAやH&Mで日本でも体感済みです。「なんでこんなに安いの?」とお客さんは嬉しい悲鳴。
実は、ノルウェーとスウェーデンの国境沿いでも長年にわたって、そうしたスウェーデンの安売りを体感し、幸せに身悶えするノルウェー人がたくさんいました。スウェーデンの方が通貨が弱いこと、物価が安いことなどを利用して、両国の国境沿いにノルウェー人をターゲットにした大型のスーパーがたくさんあるのです。お酒、タバコ、お肉・・・。ノルウェー人は「なんでこんなに安いの?」と喜んで、スウェーデンにお金を落としてきました。

さて、みなさまに愛されるスウェーデン。ここに来て、あらたに「デンマーク人」という顧客を得たようです。
デンマークの首都コペンハーゲンから、スウェーデンのマルメまでは確か、道路がつながっているんですよね(知識があやふや)。その良好な交通事情に目をつけた「商才ゆたかなスウェーデン人」が、マルメに、デンマーク人のためにショッピングセンターを建設し、コペン-マルメ間に無料の送迎バスを始めたのです(Aftenposten紙、2009年7月26日)。

この無料バスのサービスは先週から始めたばかりだそうですが、成果は上々。8月中は予約でいっぱいなんだとか。

ところでなぜ、デンマーク人はスウェーデンに安物を求めて行くのでしょうか?
一つには、両国の通貨の強さの違いがあります。デンマーククローネの方がスウェーデンクローネより強く、1000デンマーククローネが1500スウェーデンクローネに相当するとか。

さらにデンマーク国内の物価上昇という事実もあります。記事によるとノルウェーよりもデンマークの方が物価が高く、欧州一と書いてあります。
EUの平均物価に比べてデンマークの物価は141パーセントという恐ろしい数字・・・。
ちなみにスウェーデンは114パーセント。ノルウェーは139パーセントだそうです。

ところで、ノルウェー人はよくデンマークに「安いものを買いにいくのだ!」とバカボンのパパみたいに、喜んで行っていました(今も行っています)。でももはやデンマークは「安い国」とはいえず、唯一、タバコとアルコールだけがノルウェーの半額だそうです。
これだったら、スウェーデンに行った方がいいかも。

何だか、スウェーデン人にやられっぱなしの気がするのは私だけでしょうか・・・。

これはノルウェーで売っている肉です。むっちりでしょ?

2009年7月10日(金)
田舎に暮らそう


自然を愛するノルウェー人、というイメージは強いのですが、それでも近年は都市部の大学に人気が集中したり、人口もどんどん集中化しているな、という印象を持っています。

2009年6月27日のAftenposten紙に「街から出たい」という興味深い記事が載っていたので、ご紹介いたしましょう。

オスロ在住18才以上、800人に聞いた調査です。
「オスロから引っ越したいと思いますか?」という問いに対して、Ja(はい)と答えたのが男性34%、女性32%。意外と高い数字ですよね。
Jaと答えた人の年齢別は、18歳〜44歳が40%と最も高く、45歳〜49歳が31%、60歳以上が18%となっていて、若い年齢ほど「田舎志向」が強いことが分かります。
それは「どうしてオスロから引っ越したいのですか?」という問いと、関連が見られます。

まず1位は「自然の近くにいたいから」、2位は「子どもにより安全な環境で育ってほしいから」、3位は「もっと大きくて良い住宅に住みたいから」と、家族がらみの理由が目立ちます。

私の知り合いのノルウェー人夫婦も、「都会の学校は荒れているから、田舎の良い学校で子どもたちを学ばせたい」と引越しを検討している、と話していました。

逆に「オスロから引っ越したくない理由」として、1位は「家族や友達の近くにいたい」、2位は「より良い仕事に就きたい」、3位は「より良い文化的生活を送りたい」が挙げられていました。

東京に住む身からすれば、オスロでも十分、自然はたくさんあるし、安全な街だと思うのですが、かの地の人々はよりディープな自然と安全を求めているのだな〜と思った次第です。

オスロ中心地ですが、自然がいっぱい

2009年4月30日(木)
ししゃもはいらんかね〜


ししゃもはお好きですか?


お酒のおつまみに、居酒屋さんのメニューで活躍してくれますよね。
知っている人は知っている話題ですが、ノルウェーから日本へ、ししゃも(Lodde)が輸出されていました。ノルウェーでは、こんなおいしい魚を食料には使わないのです。もったいないですね!
でも極東の国の民たちは、自分たちが食さないこの小魚をお金を払って食べる、ということに目をつけ、今では日本はししゃもの重要な輸出国とみなされているのです。

そんな「おいしい商売」だったのですが、2003年を最後に、ノルウェーではししゃもの捕獲が禁止されてきました。
しかし!今年、2009年、再びノルウェー産のししゃもが日本へ輸出再開になった記事が掲載されていました(Aftenposten紙、2009年4月25日)。

この輸出再開にノルウェーがかける意気込みが伝わる内容の記事です。
なんでも、ノルウェー人担当官が六本木ミッドタウン近くの飲食店で、「一番」というはっぴを着用し、日本人客に「ししゃも」をふるまう写真が大きく載っていました。
記事には、「ノルウェー産のししゃもが日本では一番とみなされている」とありますが、この辺はししゃも好きの方のご意見はいかがでしょう?

いずれにしても、ノルウェーの中でも選りすぐりのししゃもが日本に来ているそうです。
この小さなお魚に注目!

ししゃもではありません
2009年4月9日(木)
北欧文学賞をノルウェー人作家が受賞!


みなさん、「北欧文学賞」って聞いたことがありますか?

北欧の各国から、代表作品がノミネートされ、さらに最優秀の作品が選ばれる大きな文学賞です。
今年の「北欧文学賞」は、ノルウェー人の作家Per Petterson(ペール・ペッテルソン)の最新作「Jeg forbanner tidens elv」(時の流れを呪って)に決定しました。Gratulerer!
私も1月のサロンで取上げた作品だったので、とても嬉しいです。

Per Pettesonのお名前は聞いたこともある、という方もいらっしゃるかもしれません。前作、「Ut og stjæle hester」(2003年)は本国のみならず英語圏で、大成功を収めました。
ニューヨーク・タイムズ紙とタイム誌で、ベストフィクション10作品に選ばれ、40ヶ国語に翻訳されるという快挙を成し遂げたのです。

今回の受賞は、ノルウェー人からすれば「altfor sent」(遅すぎる)という感があるようです。
新聞報道(Aftenposten紙、4月4日)によると、Per Pettersonの受賞会見では、「前作のUt〜で受賞したかったのでは?」という質問がありました。
しかし、Pettersonは「この本で受賞できたことが嬉しい」と素直に喜びを表現しています。そして成功しすぎた前作から、次回作を書くことの難しさをにじませるコメントを残しています。
「まず第一に前作との関係も、集中することも難しかった」。

Per Pettersonは、「家族」というモチーフにこだわった作家です。
自分の親を、クルーズ船の沈没事故で亡くすという悲壮な実体験経て、家族の思い出、そして不在と喪失感を、繊細かつ静謐な文章で表現する作風です。

前作では、父と息子の関係が、そして最新作では癌におかされた母と息子の関係が、70年代の東オスロの描写とあいまって、「すでに失われたもの」への挽歌のように奏でられます。

「Ut og stæle hester」はすでに日本語訳の出版が決定しています。
この世界的な作家になりつつあるPer Pettersonが、ここ日本でも受け入れられるでしょうか?
近年、翻訳もの、特に純文学の苦戦が強いられていますが、期待したいですね。

よ、純文学!

2009年3月10日(火)
牛乳のパッケージに注目!

私が昔、西ノルウェーの田舎に留学していた時、たくさんの牛乳を見かけました。
といってもそこはノルウェー。ほぼTineという会社の製品ばかりです。
高脂肪、低脂肪、いろいろな牛乳はありましたが、パッケージにはMjølkと書いてありました。
「ふ〜ん、牛乳ってMjølkって言うんだ〜」と何となく覚えてしまったのが、ノルウェーの言語事情にまだ疎かった頃。
私が書いた本や、こちらのサイトにも何度か書きましたが、ノルウェーは似たような公用語が2つある摩訶不思議な国なのです。

その1つはブークモール(Bokmål)と呼ばれ、今では9割くらいの人がこちらの公用語を使っています。ですが私が留学していた西ノルウェーの田舎は、もう1つの公用語ニーノシュク(Nynorsk)の勢力が強い地域でした。
察しのいい人はもうお気づきでしょうか?そうです、Mjølkはニーノシュクなんですね。Melkがブークモールになります。
ですからその後、オスロで牛乳を見かけると、「Melk」と書いてあって、それが当たり前のような顔で鎮座していて、「多すぎる選択肢って、何だか面倒!」と半ばあきれたことを覚えています。

3月9日付のAftenposten紙の報道によると、Tine社はこの「面倒くさい」ことを辞めてしまうそうです。
つまり、Mjølkの表示を原則、なくしてしまうのだとか。(厳密には、8つある乳製品のうち1つだけはMjølkの表示のみにするそうです)。
これには当然、常に被害者意識でいっぱいのニーノシュク擁護派が黙っていません。「Tine社はノルウェーには2つの公用語があることに配慮していない」と批判のコメントが同紙に載っています。

こんなに劣勢でも、Nynorskが全面的になくなるということは考えられません。
きっと暴動が起きると思います。
みなさんはどう思いますか?

牛乳がいっぱい

2009年1月14日(水)
にわかプロデューサー気分(番外です)


昨日から不安でした。

今日は2年ぶりの録音です。
現在、「ニューエクスプレス ノルウェー語」(白水社)の出版に向けて、準備中。
テキストのCD吹き込みは、本物のノルウェー人にお願いしないとできない作業です。

まずは、録音に協力してくれるノルウェー人の確保!
元々、世界中にそんなに多くないノルウェー人です。しかも東京近郊に在住し、かつ方言がひどくなく、おまけに録音に協力してもいいよっていう男性・女性は、本当に少ないです。
何とか、ノルウェー語レッスンの生徒さんが在籍している大学にいる留学生たちを紹介してもらうことにしました。男性はAsk、女性はKari。
意外にあっさりと快諾してもらったのが昨年秋のこと。

中央区の八丁堀駅で待ち合わせしたのですが、2人とも来ません・・・。
今まで3回の録音に立会いましたが、そのうち2回、ノルウェー人と会うのにかなり手間取ってます。
「お願い、来てちょうだい!」と心の中でシャウトを繰り返しました。
最悪のシナリオを10通りくらい考え、30分以上待ったところでようやく、合流。
いざ、スタジオへ!

録音に入る前、軽く打ち合わせをしました。
何となく2人とも緊張気味に見えます。私も、果たしてどんな按配になるのか、心配でした。

スタジオに入り、少しテストをします。うん、2人とも声がいい。Kariは高くかわいい声で、Askは低くて響く声です。
やっぱりノルウェー人のノルウェー語ってきれいだな〜と素直に感心しちゃいました。
いよいよ本番です。

間違いがないように、テキストと2人の声を集中して聞きます。
人間だもの、ちょっとした言い淀みや間違えはあります。
その度に、「えっと〜、ここをもう1回」と何だか、プロデューサーのように指示。
でも残念ながら、この偽プロデューサーは売れっ子ではないので、ひたすら下手に媚びながらお願いします。いつか大物になりたひ。

途中、休憩をはさみました。Kariが「とっても面白い!」と録音を楽しんでいる様子でほっとします。
私自身も幾つか発見がありました。
テキストに、「OK」というフレーズがあります。ノルウェー語風に読めば、「オーコー」、でも英語と同じように「オーケー」と発音するノルウェー人が多いのです。私もフリガナは「オーケー」と書いてました。
でも、Askが「オーコー」と読んだので、ストップしたら、「友達と話している時はオーケーだけど、年長の人と話す時はオーコーって言うね」と説明してくれました。ふ〜ん、そんな風に使い分けているんだ、と興味深かったです。ただこの場面では、お姉さんと話している設定なので、「オーケー」にしてもらいました。

無事に20課まで読んでもらい、最後にKariから読者のみなさまへメッセージを吹き込んであります。
今まで録音を頼んだノルウェー人は、みんな読むのが上手でした。ノルウェーの国語教育って充実しているのでしょうか?
2人とも満足して終了しました。あ〜良かった。で、プロデューサー業は終わりです。やっぱり私には向いていません。みなさんにぺこぺこ頭を下げながら、失礼しました。

本書の発売は来月の中旬〜下旬の予定です。
なにとぞ、お手に取っていただき、ついでにお買い上げいただけると嬉しい限りです。


KariとAsk
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