![]() 「ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ」として フィンツアーのサイトに2010.11~2014.8の間、 全46回掲載されたものをまとめました。 【05】 |
A4バンザイ! 皆さんは、「A4」と聞いて、何を連想しますか? 英語では、「square」が「A4」に相当するでしょうか?「堅物」といったニュアンスがあるようです。 最近、ノルウェーの新聞に、「A4」に関して面白い特集記事がありました。 オスロ大学の研究でも、20代のノルウェー人に「大事な価値観は何か?」を調査したところ、「自立、オリジナリティー」との回答が最も多かったとのこと。 ・・・とだいぶ、旗色が悪い「A4」という単語からさらに発展して、「A4-livet」という表現も生まれました。「A4ライフ」という意味です。 ![]() 週末の散歩もA4! 実は特集記事では、「A4ライフ、バンザイ!」といった「A4ライフ」を送る人物からの反論だったのです。 ![]() A4なパンツ で、現在36歳のオーラブさんは・・・ ![]() A4な朝食風景 前述のオスロ大学の研究でも、こうした世代による「価値観の変化」は確認されています。20代の「個性大事!」から30代では子どももでき、「安定性」を重視するようになるようです。 ![]() 家族の予定表 確かにノルウェー人、特に小さな子どもを持つ人たちの生活はすごく「規則的」です。 ![]() A4な田舎の冬 私見では、ノルウェー人の生活自体は「A4ライフ」かもしれませんが、1人1人が「A4」=平凡とは限らない印象です。逆に、型にはまらない人を、周囲は「寛容」に認めている気がしますね。 「A4」タイプ、「A4ライフ」、皆さんはどちらが当てはまりますか? 2014年3月10日 ←戻る |
通りの名前 日本に来た外国人は、住所だけを頼りにお目当ての場所を見つけるのが難しいだろうなぁ~と思います。 ノルウェーの住所で多いのは、~vei(ヴァイ)=「道」、~gate/gata(ガーテ・ガータ)「通り」ですね。 ・・・ということで、通りの名前の意味が分かると散策も面白い!ということで、オスロ(と郊外)の目についた通りの名前をご紹介しましょう。 地図帳を眺めて「多いなぁ」と感じるのは、著名人の名前をそのまま通りの名前にしているケースです。 グリーグの名前由来の通りがオスロにあるのは、ちょっと意外でしたね。 ・・・地図を見ていると、それこそ無数の人名由来の通りがあります!これは欧米ではよくあるかと思うのですが、なんで日本にはないのでしょうね??いろいろ問題があるのでしょうか? さて他にも、地名を見ていると、「そのまんまじゃない!」とツッコミたくなる通りの名前がありました。 「まんま」よりは、もうちょっと風情を感じる通りの名前をご紹介しましょう。 ノルウェーらしさを感じる通りの名前もあります。 可愛い通りの名前も見つけました♪ あとデートにぴったりの地名が・・・・ 私がオスロで一番好きな通りの名前は・・・Sorgenfrigata「悲しみのない通り」です! ・・・・と少しでも意味が分かれば散策もより楽しくなりますね~。 2014年4月11日 ←戻る |
ケーキ戦争 in ノルウェー(フィンランド人も参戦!) ノルウェー語から日本語に翻訳しにくい単語に「foreldremote」があります。 ただ日本の「保護者会」は、お母さんたちの集まり、というイメージがあります。 さて、そんな「両親の会」ですが、何とも平和な(?)騒動があったそうです。 オリンピックの街で知られるリレハンメルの学校で、ちょっとした騒動が起きました。 それから、クラスの両親たちに波紋が広がり、問題は「家庭における男女の役割」にまで発展したところが、まぁノルウェーらしいですよね~。 前述のフィンランド人母のコメントを引用してみましょう。 同じ「北欧」とは言え、フィンランド人とノルウェー人の違いが垣間見られて、興味深いですね。 私は、ノルウェー人が自分の誕生日にケーキを焼いて職場に持参したり(男性も!)、夏休み前になると、職場では、フルーツやケーキを用意して、みんなでリラックスするシーンを知っているので、「両親の会」の雰囲気はな~んとなく想像できます。 日本の「保護者会」ではこんな「騒動」は起きないと思いますが、どんな時でも「リラックス」や「くつろぎ」を求めてしまうノルウェー人の国民性が面白いですね。 「ケーキ戦争」—あなたはノルウェー派それともフィンランド派ですか? 2014年5月13日 ←戻る |
お国別観光客の行動拝見! 5月にノルウェーへ行ってきました。 前半は、世界各国のノルウェー語翻訳者150人が招待された「翻訳者セミナー」に参加し、その後は「観光客」に徹し、オスロ、ベルゲン、フィヨルド地帯を訪れました。 改めて「観光スポット」めぐりをして、実にいろいろな国籍と思える観光客が来ているのね~、と感心。ついついその人たちのふるまいを観察してしまいます。 意外と多かったのがフランス人。フランス語でずっとおしゃべりしているので分かります。 あと、どこの国籍かは断定できませんが、スペイン語を話す観光客も意外と多かったですね。ベルゲンのお魚レストランで、メニューに載っている「バカラオ」を見て、「バカラオ!バカラオ!」と大騒ぎしていたからです。 バカラオは、ご~くかいつまんで説明すると、乾燥タラのトマトソース煮でしょうか。スペイン語圏の食べ物ですが、この乾燥タラが「ノルウェー産」であることから、ノルウェー人は「バカラオはノルウェー料理」と信じている節があります。 「アメリカ人、意外と少ないのかなぁ」と思っていたら、いました~!フロムからのフィヨルドクルーズ船をミュルダールで降りて、目がくらむようなヘアピンカーブをバスで降りていきます。そのバスにアメリカ人が結構、乗っていたのですが・・・・。
私はアメリカ人を映画やドラマといった媒体を通じてしかあまり知らないので、過剰な思い込みがあります。 すみません、話が脱線しました。で、そのアメリカ人たちに注目していると、「オー・マイ・ゴット!」をリアルに聞くことができプチ感激しました~。また、ポテトチップを片時も離さない女の子がいて、この姿にも納得。 さて、ノルウェーですら、「日本人観光客=カメラ片手」と烙印を押されていましたが、今回の旅行で新たに気づいたのは、「被写体ポージング」です。 とあるアジア人3人組は、なんと男女が座って抱き合っている彫刻を「まねて」中年男女カップルが座って抱き合います。それを何の逡巡もなくシャッターを切る女性・・・いや~、これにはさすがに驚きました!生徒さんたちにこのエピを話して、「どこの国の人だと思います?」と聞き回ってますが、みなさん答えがバラバラ・・・詳しい方、教えて下さ~い。 ・・・とノルウェーの自然を前に、相変わらず下らないことに思いをはせる楽しい旅でした~。
2014年6月12日 ←戻る |
子ども新聞 in ノルウェー 仕事柄、ノルウェーの新聞は購読したり、ネット版をチェックしています。 「子ども新聞」は、大人向け新聞と同じ体裁をとっています。海外・国内ニュース、特集、経済、科学、スポーツ、意見コーナーなど。簡単な表現や言葉は使っていても、子ども向けでも内容は「シリアスかつ現実的」です。 例を挙げてみましょう。 虐待にあっている子どもたちの心配である「自分が訴えたら、残された家族はどうなるの?」、「ママやパパはどうなっちゃうの?」といった質問に対しても、児童局の仕事について分かりやすく説明し、子どもの不安を和らげようとする意図が見えます。 他に目を引くのは、「国際面」の充実ぶりです。 ノルウェーは世界でも屈指の「男女平等の先進国」です。 さらにさらに驚いたのは「経済面」です! 紙面では、大人からの一方的な記事を与えるのではなく、子どもたちの意見や質問などにも多くのページを割き、「対話型」のツールになっています。 「どうせ子どもだから分からない」ではなく、「子どものうちから、目を開かせよう」というノルウェー人らしさが垣間見られた「子ども新聞」。 2014年7月18日 ←戻る |
歯医者コワイ 世界に冠たる福祉国家ノルウェー。様々な福祉サービスは充実しています。例えば、入院や出産費用は無料です。通常の医療行為は、日本と同じように「一部負担」を払うシステムです。 歯科診療に関しては、18歳まで無料。19歳、20歳は一部負担ですが、20歳を超えると「全額負担」という名の「試練」が待っています。これ大げさな表現ではありません。
ノルウェーの医療サービスは公的なものが多いですが、こと歯科医は民間が大勢です。 「ノルウェーの歯医者は高い」とよく聞いていました。あまりに高くて、ブルガリアやハンガリーなどへ行きホテルに泊まって歯科診療を受ける、といったエピソードは珍しくありません。そこで、どれくらいノルウェーの歯科診療が高いのか、あるオスロの歯科医の料金表を見てみました。 検診=約12500円~ かぶせ(デンタルクラウン)=約70000円~ ブリッジ=同上 義歯=約93000円~
これちなみに最低料金表示です。日本とおなじでかぶせるものの材質によって値段はどんどん高くなるでしょう。あと料金表で笑えたのは・・・・
患者を落ち着かせるための会話および歯医者恐怖症をなだめる=無料
これってマクドナルドの「スマイル0円」みたいと感じるのは私だけでしょうか?
ノルウェーで歯科診療が高額であることと、人々が「完璧な歯」を目指しているのは、ある種の皮肉を感じます。ノルウェーの恩師が来日した際、「日本の子どもはあまり歯科矯正していないわね」と感想をもらしました。確かに、ノルウェーの子どもはもっと矯正をしていたような・・・・これは、「きれいな歯並び」を重んじる国民性ゆえと想像します。 18歳までの歯科診療は「無料」と書きましたが、「矯正」は別です。18歳までの矯正は、その治療によって最大75パーセント保険でカバーできるようです。それでも「娘の矯正に26万かかった」というコメントを新聞記事で見つけました。これが全額だったら・・・やはり子どものうちに矯正です!
例えば「教育」は、「どんな家庭環境でも平等に教育を受ける権利がある」という基本方針がありますが、歯科診療は、お金に余裕がないので10人に1人が歯医者に行けないという統計があります。お金がないため歯医者に行けず、歯が欠けていている女性が「恥ずかしくて人前で歯を出して笑えないし、外での食事も考えられない」とコメントしている記事を読みました。こうなると深刻ですね。 ノルウェー人の友達が、ビンボーな息子さんに「歯医者のプレゼントカード」を贈ったという話を聞きました。主に誕生日プレゼントに利用する人が多いようですが、そのプレゼントカードを持参すれば「検診=約16000円」とか「ホワイトニング=34000円」など歯医者で利用することができるそう。まさにノルウェー商法!
これだけ「歯医者はお金がかかる」と人々は骨身にしみているのか、虫歯や歯が汚れないように、「歯を磨いた後は、水しか飲まない」、「歯間歯ブラシの利用率高い」「つまようじはおっさんだけが使っている訳ではない」と歯の衛生には注意を払っています。 ノルウェーが誇る歯ブラシメーカーJordanのつまようじは鋭くて、「歯垢は取ってやる!」という執念を感じます。
もっと遡れば、幼い頃からの「虫歯防止への啓もう活動」がありました。ノルウェー人ならば誰もが知っている『Karius og Baktus』(カリウスとバクトゥス)という絵本があります。 歯磨きが大嫌いな男の子イェンスの口の中で「カリウスとバクトゥス」という虫歯菌が元気に活動。特にイェンスがキャラメルクリームやふわふわの白パンを食べると彼らは大喜び。でもイェンスが虫歯の苦しみから歯を磨き、挙句、歯医者へ行ってしまうので、カリウスをバクトゥスはイェンスの口の中から追い出される、というストーリーです。 全然、説教臭くなく楽しい歌も挿入されていて、1949年から愛され続けられた人気キャラクターです。
素朴な疑問。「なぜ歯医者だけ全額負担?」これは、国民のほとんどが「一部負担にすべき」と思っているのに、未だ実現できていません。福祉国家にも「自己責任」の面があるという教訓でしょうか? 2014年8月8日 ←戻る |
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