![]() 「ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ」として フィンツアーのサイトに2010.11~2014.8の間、 全46回掲載されたものをまとめました。 【01】 |
そうだ、公園へ行こう それにしても、なんで東京に来るノルウェー人は、みんな「代々木公園」に行きたがるのか、不思議な気がします。あんなに自然に恵まれた国から、大都会の東京にわざわざ来るんだから、別に「公園」に行かなくてもいいと思うのですが、「東京の公園に行きたい」と言って、「代々木公園」に足を運ぶのです(明治神宮とセット売りです)。やはり、ノルウェー人にはある程度の「自然」がないと、空気がなくなるように、生きていけないのでしょうか?ナゾは尽きません・・・・。 ・・・でも、分かるような気がするのです。 オスロに行ったら、どこに行けばいいのか?という質問に対して、「フログネル公園」(Frognerparken)と、まずは公園を勧めていますから。 そう、オスロに行ったら、「フログネル公園」がオススメの観光スポットです。 この公園内には、ヴィーゲラン(Vigeland)というノルウェーを代表する彫刻家の彫刻が、何百も並んでいます。どこが終わりか分からないほど広大な公園の歩道の両サイド。そこに肉づきの良い裸の老若男女の像が、さまざまな姿態で私たちを迎えてくれます。さらに歩を進めると、121人もの人間が折り重なった「人間の塔」(モノリッテン/Monolitten)がでーん、と「どうだ!参ったか!」という感じで、そそり立っています。そしていろいろな国からの観光客が熱心に写真を撮っていたりするわけです。 実は私、この「フログネル公園」は好きなのですが、ヴィーゲランの彫刻はあまり好きではありません。「秘すれば花」の文化圏の人間には、真っ裸でポージングを決められると、どうにもこうにも落ち着かないのです。なので、公園に行っても彫刻の鑑賞は、あまりせずに、もっぱら公園内のカフェでまったりするのが、好みのスタイルです。 今年の初夏、公園内のオープンカフェに座っていました。日曜日で天気が良いという条件が重なって、たくさんの人であふれかえっています。もちろん、お決まりの団体観光客もいるのですが、家族連れのノルウェー人たちも、散策や芝生で寝っころがったり、思い思いに公園を楽しんでいるのが印象的でした。そこで知り合いの日本人家族にも、偶然、会ったりして、「やっぱりみんなに愛されているスポットなのね」と再認識した次第です。 この公園は四季を通じて、見せる表情も変わります。 夏は観光客が大勢いて明るいですし、秋は紅葉がすばらしい。冬の雪景色も風情がありますし、春になれば、「これからどんどん日が長くなる」という期待感に満ちてきます。 10年ほど前、オスロ大学に留学中は日々、勉強に追われて肩でゼイゼイ息しているような感じでしたが、たまに「どうしても行きたい!」と欲求に駆られて、訪れていました。 先ほど、彫刻は好きではないと書きましたが、公園全体の雰囲気が、好きなのです。うまく言葉にはできませんが・・・。入口には、ワッフルを焼いて売っている女の子がいたり、スケボーを楽しむ男の子たちがいたり、ひとりただずむ異国人(←わたしのこと)がいたり、みんなが好き勝手をしていいんだ、と公園の持つ「懐の広さ」に惹かれているのかな・・・と。強いて申し上げますと。 今では年に1回しかノルウェーに行くことはありませんが、オスロに行くたびに必ず訪れる場所です。 オスロは、ここ10年で街が大きく変わりました。 2010年11月4日 ←戻る |
クリスマスにまつわるエトセトラ ノルウェー語でクリスマスはjul(ユール)と言います。
このjulという単語には、それ自身に不思議な力があるように感じます。みんなが自然と微笑みを浮かべる力。小さい頃のクリスマスの思い出に浸ったり、ふんだんに出てくるクリスマスのご馳走を連想したり、どんなプレゼントを用意しようかとそわそわしたり、そして何よりもなかなか会えない家族や親せきとの集い・・・。ノルウェーの冬は暗く厳しいですが、クリスマスのデコレーションや窓辺のアドベントキャンドルは人々の心を温かく照らしてくれます。
しかし、近年、クリスマスの商業化がひどくなったと嘆くノルウェー人は多いです。極端なところでは10月からクリスマスのデコレーションやライトアップを始めるお店もあるようです。確かにクリスマスでお金を儲けようという商魂がそこにはあるでしょう。でも、人々が明るい光を求める根源的な心が、そうした動きに呼応しているのでは?と思うこともあります。
特に私のお気に入りは、クリスマス前から家々の窓に飾られるアドベントキャンドルやクリスマスの星をかたどったライティングです。
一番最初に留学した先は、のんびりとした田舎で派手なイルミネーションとは無縁なところでした。
クリスマスに近づくとどんどん日が短くなり、15時頃の帰宅でも外はもう真っ暗。でも、家々の窓からもれる光がとてもハートウォーミングで、何だか懐かしい気持ちになりました。日本とは違ってカーテンは基本的に閉めないので、窓辺のデコレーションを楽しむことができたのです。ぽつ、ぽつ、ぽつ、と暖かい光が真っ暗な夜に映えて、商業的なデコレーションとは違う素朴な味わいを私は何よりも楽しんでいました。
あとjulのマジックはいろいろな「言いわけ」を作ってくれることです。
julだから、ご馳走とたくさんのお酒でもてなされる席を、会社がセッティングしてくれるjulebord(ユーレブール)は、日本でいうところの忘年会。この時とばかりに華やかに着飾って、滅多に仕事の後のお付き合いはしない職場の同僚たちと、ダンスをしたり、羽目を外して騒いだり。それもこれもjulという大義名分があるから、許されます。
またjulだから、ダイエットに夢中な人でもヘヴィーな料理を食べることがOKです。伝統的なクリスマス料理は豚のリブ、マトン料理、タラなど。それに山盛りのソーセージや付け合わせが大皿に盛られて、見ているだけでもお腹いっぱい。それにたくさんのデザート!
お酒だって負けてはいられません。アルコール度数の高いアクアビット(じゃがいもの蒸留酒)は、胃のためにいいからという理由で好んで飲まれます。それに特別なjuleøl(ユーレウル)というクリスマスビールが販売され、どんどん飲みたくなるのもご愛敬。お酒に強い多くのノルウェー人にとって、julという立派な言いわけのもとに、杯を重ねます。
そして最も大切なことは、julには仕事を休んでいいという言いわけです。大切な家族との集いを妨害することは、ほとんど人道問題に関わること。これを私たち日本人も忘れてはいけませんね。
少し早いですが、God jul!(グーユール=メリークリスマス)
2010年12月3日 ←戻る |
きっかけはオーロラツアー☆ 今では、もはや「冬の定番」のオーロラツアー。 異様に着膨れした一団が見えたところが、ツアーの集合場所でした。参加人数は30人以上いたでしょうか。みなさん、これから秘境に行くぞ!という気合で満ち満ちています。何度か飛行機を乗り継ぎ、いよいよ目的地のトロムソに到着したら、なんと天気は雨!雪ではなく、雨です。気温も思ったほど低くなく、「こんな気候で、オーロラが見られるの?」とみんなの心は、少しブルーに・・・。 ![]() 犬ぞり出発!(イメージ) 結果としてツアーの間中、オーロラの観測は叶いませんでした。それでも、全然がっかりしなかったのは、他のアクティビティーが楽しかったこと、トロムソの素朴な街並みに魅了されたことに尽きますね。犬ぞり体験では、頭のいい犬たちに翻弄され、そりから振り落とされそうになったけど、「きゃほ~」と爽快感を満喫。また、サーメ人のキャンプ訪問では、直火でトナカイの肉が焼かれて、それをアメリカンなコーラと共に食すという貴重な体験をしました。トロムソ観光では、有名な北極教会を訪れました。教会の内部は暖かい木目調。突然の極東からの訪問者たちを地元の人々は驚きながらも、受け入れてくれました。 ![]() トロムソの北極教会 さらに忘れ難かったのは、ノルウェー人ガイドの女性が、私たちツアー一行を全員、自宅に招いてくれたことです。ちょうどクリスマス前の時期で、お家はクリスマスのデコレーションで彩られ、ほっこり度マックスでした。日本のちんまりした家に慣れた身からすれば、こんな大人数を一度に呼べる家ってすごい!と感心しきりです。仕事を離れたノルウェー人の優しい心持に、感激しました。 そうなんです、何だか観光ずれしていない「純な心」に魅了されたツアーでした。 ガイドさんもそうですし、ホテルでも枕銭を置いても受け取らない。当時、バブルに浮かれた日本人は、海外でお金がらみの不快な思いをすることもありましたが、それとは異なるノルウェー人の対応が印象に残ったのです。 「こんな北の果てで、人々はどうしてこのような豊かな暮らしができるのだろう?」この「“豊か”には」物質的、精神的、両方の意味を含みます。私の疑問と興味は帰国後も続き、次の夏にはフィヨルド地帯を観光し、さらにノルウェーに魅了されました。挙句の果てには、学べる場所が限られていたノルウェー語の語学教室へ通うことを決意。OLをしながらのノルウェー語学習は、久しぶりに「勉強するぞ!」という意欲を掻き立て、仕事以上に真面目にやっていた記憶があります。 いや~、若さって怖いですね。なんと会社を辞めて、ノルウェー留学という道を選びました。そこから先は・・・・。はい、現在につながっています。 今まで数限りないほど「どうして、ノルウェー語なんてやっているの?」という質問には、本当はこうしたマイストーリーがあるのですが、適当にはしょってきました。でも今回は納得していただけたでしょうか? 一つのツアー旅行がきっかけで、こんなに人生が変わるとは・・・・。今の時点では、「おもしろい!」と断言できます(先のことはケ・セラ・セラです・・・)。 ![]() 森の中に浮かぶオーロラ(イメージ) 2011年1月15日 ←戻る |
旅の快感コミュニケーション さて前回は、オーロラツアーについて書きました。 ノルウェーに興味を持った私は、会社勤めのかたわら語学学校でノルウェー語を学び始めたのですが、本当に楽しかった思い出があります。余暇時間はほとんどノルウェー語教室の予習と複習をしていました。そしてノルウェーに行っては、少しでもノルウェー語を使ってみようと、鼻息荒くしていたのです(嗚呼、若いって素晴らしい!) ホテルのチェックインでは、「日本から予約しましたJunko Aokiです」 こんなこともありました。お土産屋さんで、「Can I help you?」という英語の問いかけに、「いいえ、見ているだけです」(Nei, bare
kikker.)とノルウェー語で返したところ、店員さんが混乱してしまったのです。まず英語でそれからノルウェー語で、「まさか日本人がノルウェー語を話すと思わないから、びっくりしてわけが分からなくなったの」と心理状態を説明してくれました。 そうなんです、英語は今では話せて「当たり前」と思っている人多いですが、ノルウェー語は違いますよね。 日本人はちょっとでも外国人が日本語を話すと「日本語、上手ですね」とよく誉めますが、これは「日本語のように特殊で難解な言語を話すとは、異国の者なのにおぬし、やるな」という意識が働いているかと思います。ノルウェー人も外国人がノルウェー語を話すと、手放しに誉めてくれますが、それは「ノルウェー語みたいなマイナーな言語をわざわざ貴方が話してくれるなんて!」というへりくだった意識があるような気がします。 ただ、旅先でノルウェー語を使ってみると、快感ばかりではありません。私がちょっとノルウェー語を話すと「とってもできる人」と勘違いされ、すごい勢いでノルウェー語の洗礼を受け、「??」となることもしょっちゅうでした。すると、「もっともっと勉強しよう、みんなが言っていることが分かるようになろう!」と学習意欲がさらにUP、という思考回路でした。 会話のコミュニケーションは、テニスのラリーにも似ているかと思います(テニスできませんが・・・)。 と、会話で得られる快感は大きいのですが、言葉が分かると、新聞の見出しや看板の意味も分かってくるようになります。歩いていて、「サルサ教室」の張り紙を見つけ、「ゲルマンなノルウェー人がラテンに憧れる?」とクスクス笑ったこともありました。言葉が分からないと、文字は意味のない記号の羅列に過ぎませんが、分かるようになると、大げさかもしれませんが、文字がキラキラと輝きを放ち、意味をもった存在として私の前に迫ってきます。 それから長期短期4回もノルウェー留学をしたのは、ひとえに「みんなの言っていること、書いてあることを理解したい。そして私の言っていること、書くことを理解してもらいたい」という欲求に突き動かされたからだと思います。 今日、ノルウェーへは再び「旅人」という立場で訪れる私ですが、「ノルウェー語、上手だね」とおだてられて、鼻の穴をふくらます、という図式は昔も今も変わりありません。 2011年2月15日 ←戻る |
体感するオスロ
日本でノルウェーに関わる仕事をしていると寂しく感じることが、多々あります。 例えば、「北欧特集」とか「スカンジナビア特集」という雑誌を見つけ、嬉々としてページをめくると、コペンハーゲン、ストックホルム、ヘルシンキのページだけで、オスロはスルー、というパターン。 こんな「日陰者」のオスロですが、果たしてそんなに魅力がないのでしょうか? オスロは確かに他の3都市に比べて規模は小さいかもしれませんが、オスロならではの「素朴な魅力」があると思います。 私はほぼ毎年、オスロを訪れています。日本からはるばる到着すると、何だか懐かしい気分になります。オスロには1999年から2000年に留学していたのですが、基本的な街並みは変わっていません。シンプルな王宮から、ノルウェー随一の目抜き通りカールヨハン通りが、オスロ中央駅までつながっています。 ![]() オスロの街並み オスロのいいところはたくさんあるのですが、まず言えることはサイズがコンパクトで、徒歩での観光巡りがしやすい、ということです。前述のカールヨハン通りをまっすぐ歩いてもいいのですが、ちょっと横道に入ると、いろいろなお店や施設が並んでいて、ぶらっと歩くのに最適です。 私が好きな散歩コースは、王宮の庭をてくてく下りながら歩き、3年ほど前にできた「文学の家」(Litteraturhustet)にちょっと寄って、カフェで一休み。 他には、中央駅の近く、オスロ大聖堂の周りをぐるっと囲んで回廊式の建物があります。 ![]() オスロのデザインショップ 東京ではこんなに歩かないかも・・・。オスロでは、不思議と「よし、歩こう」と思えるんですよね。 徒歩よりももっと広い範囲を見てみたい、という方にお勧めなのが、トラム[路面電車]=trikkenを使った観光です。時間に余裕がある人は、幾つかある路線の始発から終点まで乗ってみるのも面白いですよ。 トラムのある街っていいですよね。 ![]() オスロのトラム 留学中も、地下鉄の方が便利だけど、勉強の息抜きにトラムに乗っていたな~と思いだしました。 地下鉄といえば・・・。ノルウェーで地下鉄が走っているのはオスロだけです。 でも「地下鉄」T-banenの定義があいまいというか、ほとんど地上を走っています。 オスロの魅力として、「すぐに自然にアクセスできる」もあるでしょうか。地下鉄で5~10分走れば、すぐにあなたを自然が包み込んでくれます! ![]() 緑豊かなオスロの風景 また留学中の話で恐縮ですが、当時の学生寮はソグンスヴァン(Sognsvann)という湖の近くにありました。ソグンスヴァンは地下鉄の終着駅です。中心地から20分ほどで行けますが、そこはもう森と湖が広がっている自然の宝庫です。やはり時間のある方にお勧めなのが、湖一周のお散歩。冬になると湖が凍結して、湖の上を歩く猛者もいます! 「歩く」といえば、3年前にオープンしたオペラ座は、なんと屋根の上を歩くことができます。 いかがでしょう。一見、「何もないように見える」オスロですが、素敵なところはたくさんあります。 ぜひ足を運んでみませんか? 2011年3月16日 ←戻る |
スウェーデンはお好き? お隣の国というのは、よくも悪くも、いいところ、悪いところが目につきませんか? 一番初めに留学した時のこと。 ![]() スウェーデン! いうまでもなくスウェーデンは隣国です。同じ隣国でもデンマーク人のことは「陽気で楽しい」と手放しに誉めるノルウェー人。でもなぜスウェーデン人のことは馬鹿にしようとするのか、最初は理解に苦しみました。 ![]() ノルウェーのIKEA 実のところあまり相手にされていないようですが、ノルウェーはスウェーデンを「ライバル視」している節があるようです。ヨーロッパで開催される大きなポップミュージックの祭典「メロディーグランプリ」でそれは顕著です。番組では、各国から代表の歌手が歌って、他国の人がいいと思った国の歌手にポイントをあげるシステムになっています。その時、必ず「スウェーデンはノルウェーにあまり点をくれませんね」 ![]() メロディ・グランプリ あと印象的だったのは、2005年5月終わりから6月にかけてノルウェーに行った時のこと。 ![]() ノルウェーのナショナルデー ただ前述したように、ノルウェーはスウェーデンのテレビを見ている人が多いので、スウェーデンに関する知識が豊富です。でもスウェーデン人はノルウェーのことをあまり知りません。そしてその事実をまた「自虐的に」ノルウェー人は自覚しています。 「どれほどスウェーデン人はノルウェーのことを知らないか」という特集記事を読んだことがありました。現ノルウェーの国王の名前を知らないスウェーデン人が結構いる、という残酷な結果に、悔しがりながら、どこか「やっぱりね」とマゾ的に喜んでいるノルウェー人。 本当はスウェーデンが気になって、大好きなのではないでしょうか? 2011年4月13日 ←戻る |
失われた太陽をもとめて 現代のノルウェー人は、それほどキリスト教を熱心に信仰しているようには見えません。 ![]() 芝生で日焼け 私の目元にシミがあるのは、ノルウェーに何度も行ってノルウェー人と行動を共にした結果です。 ![]() 海辺では当然・・・ ノルウェー語では、わざわざ「外で飲むビール」という意味の単語utepils(ウーテピルス)があるくらい、彼らは太陽のもとでビールを飲めることにも命をかけています。 ![]() ひたすら日焼け ただ留学して分かったことがあります。ノルウェーの冬は、日照時間がとても短く、暗い時間が長く続くという事実。冬至を過ぎて、少しずつ日が長くなっていくありがたさ。 ![]() 太陽の下のスキーは最高 長い冬を経て、念願の夏がノルウェーにもやってきます。日本のような気温にはなりませんが、太陽はたっぷり長時間出ます。極端じゃないの、ってくらい夜の遅くまで明るいです。 こんな忘れられないエピソードがあります。夏の日、とあるノルウェー人のお宅にお邪魔し、バルコニーでワインを飲んでいた時。いつまでも沈まない太陽を見ながら、彼女は「今から、これから来る冬のことを思うと憂鬱だわ」とつぶやきました。 なぜか「メメント・モリ」(死を想え)という言葉が浮かびました。たくさんあふれている生の中でも死を忘れないように、太陽がたくさんある夏に冬を思い出すという行為が重なったのかもしれません。 もしかしたら、私も少し「太陽教」の信者になりつつあるかもしれません。 ![]() オープンテラスが人気 ノルウェーに行くと、迷わずオープンテラスを選ぶようになりました。 2011年5月14日 ←戻る |
ノルウェー語を仕事にすること 本当は良くないことなのですが、はじめてノルウェーに留学する前に帰国後の仕事のことをちゃんと考えていませんでした。 「教える仕事」は、本当に奥が深いと思います。最初の頃は、自分が留学した時に教わった授業を日本でも再現したくて、全部、ノルウェー語でレッスンをやってみようかと思いましたが、当然、頓挫。終わった後、いつも「今日のレッスンはダメだった~」と落ち込むことばかりでした。 2006年からノルウェーの仕事だけに絞る環境になり、2007年から ![]() 何て書いてある? 少人数制のレッスンスタイルでアットホームな雰囲気づくり。また、じっくりと生徒さんたちと向き合い、それぞれの受講動機に合わせてフレキシブルに対応できるよう心がけました。ノルウェーのミージシャンのファンの方には、ファンレターの代筆をしましたね。そうです、誰でも安心して参加できるレッスンを目指しました。 あと心に留めたことは、皆さん、お忙しい中わざわざレッスンに来て下さっているということ。お仕事や学校帰りだったり、貴重な休日だったり、そんなみなさんにこんなマイナーなノルウェー語を学んで頂くということは、恐れ多いことなのです!「ありがたや~」と毎回、感謝の気持ちを ![]() 何て書いてある?その2 レッスンの内容ですが、日本人はどんなポイントが苦手かは合点承知していますので、そうした点は強調して伝えるようにしています。 あと大事にしているのは、何といっても「ノルウェー小噺」ですね。テキストを読むだけではなく、そこから浮かび上がってくる社会背景や時事問題などから、なるべく笑える事例をご紹介するように、日々ノルウェーのニュースにはマメにチェックを入れ、ネタを仕入れるようにしています。そう、「早朝、築地に仕入れ」がご自慢の料理人のように、ノルウェーの派手なタブロイド新聞をネットで真剣に読んでネタにさせて頂いています。 ![]() ノルウェー語のテキスト こうした「ノルウェー小噺」は、通訳や翻訳、講演などで得た体験も大きな助けとなってくれます。「この間来日したノルウェー人一行は、格安居酒屋のサービスに大感動してくれましたよ~」と、いわばノルウェー人を「売って」商売しています。 ノルウェー情報は、生徒さんから仕入れることも多いです。そう、教える仕事のだいご味は「教わること」でもあります。 生徒さんの中には、いろいろな言語に精通されている方がいて、「●●語だとこうですよ」と教わることはしょっちゅうです。また皆さん、それぞれのノルウェー体験があったりして、「へ~」と感心することもしばしば。「ノルウェー人の友達は酔っぱらうと木に登ります。」(@東京)なんてエピソードも聞きましたね。 ![]() 話せると楽しい! 幸いにも、まだ「ノルウェー夢ネット」主催のノルウェー語レッスンは続けています。 2011年6月16日 ←戻る |
恐怖の瞬間 人にはそれぞれ「怖い!」と感じる瞬間があると思います。 私には、海外に行くと「恐怖心」がマックスになる瞬間があります。暗い夜道? それはずばり、「トイレに閉じ込められる恐怖」です。 トイレはお国によっていろいろと事情が変わるもの。 私の場合、海外とはほぼノルウェーになってしまうのですが、とあるトイレに入って、用を足して、さあ出よう、という瞬間にドアを開けようとしても開かない・・・・という瞬間が本当に怖いのです。 ![]() 恐怖のトイレドア その1 私の場合は姉の友人です。イタリアのレストランの地下トイレで彼女は「開かずのトイレ」に出会ってしまい、ドンドン叩いても出られない。 そしてノルウェーで何度か、なかなか開かないトイレに遭遇しました。 ![]() 恐怖のトイレドア その2 段々、経験値が上がって、分かって来たことがあるのですが、開かないトイレというのは、ドアを閉める際に早くも問題がある場合があります。 この地下トイレ(カフェやレストランは地下トイレであることが多い)で、誰にも気づかれず、一晩この狭いトイレで明かさないといけない、とか。 たとえ誰かに気づいてもらったとしても、ドアをどうしても外からも開けることができず、ドアを壊すことになって、その賠償金を請求される、とか。 その場合によって違うのですが、「恐怖映像」によってますますパニックに陥り、ドアを激しく開けようと奮闘します。 ここまで恐怖心があるというのならば、じゃあ、本当に出られないで閉じ込められた経験があるのでは?と尋ねられれば、それもノン(ノルウェー語ではナイ)ですね。 ![]() 恐怖のトイレドア その3 6月にフィンツアー主催のノルウェーツアーに出かけたのですが、「トイレのドア」事件は私ではなく、参加者の方の身に起きました。某公園のカフェでお茶をしていて、その方は少し離れた場所にあるお店のトイレに行きました。なかなか戻ってこないな~と周囲が心配を始めた頃に、帰って来られました。どうも様子がおかしい。 というお話を聞き、「ひぇ~」とまた恐怖のエピソードを増やし、身を固くしたのは言うまでもありません。 私自身は今回のツアーでは開かずのドアには遭いませんでした。 ![]() かわいいトイレドア(でも出られる?) トイレの恐怖心ばかり語りましたが、ノルウェーのトイレは一般的に広くて衛生的で不快な思いをしたことは、ごくわずかです。これはラッキーですよね。 2011年7月15日 ←戻る |
2011年7月22日 7月22日は金曜日でした。夜遅くなってそろそろ寝ようと、PCを落とそうとしたらFacebookにメッセージが。「ノルウェーの官庁街で大規模な爆破」というニュースのリンクが貼ってありました。眠い目をこすりながら、記事を読むと、つい6月に歩いたばかりの官庁街一帯が大規模な爆破事件に巻き込まれたそうです。 ![]() 爆破される前の官庁街 翌朝。PCを起動するとYahooニュースの「ノルウェーで銃乱射。死亡80人」 日本でも大きく報道されたので、おそらくみなさんご存知かと思いますが、ウート島で開催された労働党青年支部のキャンプに、男が銃で乱射。 ![]() 政党キャンペーン ノルウェーについてあまり知識のない方から見れば、「ノルウェー、こんな怖い国なの?」 しかし、ノルウェーは時に「退屈」と感じるくらい、事件らしい事件もない平和な国でした。 ![]() 小学生たちの街中ツアー さてこうした大惨事がなければ、ノルウェーはのんびりした夏休みシーズンの真っ最中でした。 国王をはじめ、首相や閣僚たちも事件を受けて、積極的にアクションを起こしています。 ![]() 国会議事堂前 オスロや、国内各地の街には追悼のシンボルとして手向けられたバラの花々やろうそくが溢れ、ノルウェーの人々が事件をきっかけに団結して立ち向かおうとしている様が見て取れます。そこに宗教の壁はありません。 イスラム教の人々も追悼に加わっています。 ![]() オスロを埋め尽くす追悼の花とろうそく 今年、日本は大震災、ノルウェーは大規模テロと、共に国家的な大惨事が起きました。 2011年8月15日 |
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