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2011年11月26日(土)
欧州経済危機の余波

・・・って「夢ネット」のタイトルじゃないみたい!まるで「クーリエ・ジャポン」か??と目を疑った方、すみません。マジです!!

南欧を発端として深刻化している欧州経済危機。
よく、「ノルウェーはEUに加盟してなくて、良かったですね」と言われるのですが、そんなに事態は単純ではないのでは?と思っていました。
そんな印象を裏付ける記事を見つけたので、ご紹介いたします(Aftenposten、2011年11月24日)。

彼女はスペインから家族とともにノルウェーへ20日前にやってきました。スペインでは仕事がありましたが、「小さな娘の将来は?」と危機感を抱いたそうです。
とりあえずノルウェーでは清掃会社で仕事を得ました。
彼女は1週間に4時間、夫は6時間だけの仕事。そのかたわら、ノルウェー語を独力で学ぶことに決めました。

「ノルウェー語を習得したら、看護師になりたいです。でも今は何だってやります。」
一家は、ドミニカ共和国から移住してきた家族とアパートをシェアしています。
記者は尋ねます。「なぜ、ノルウェーに来たのですか?」と。
「インターネットでノルウェーについて読みました。そして国の状態が良いように感じたのです。」
本当に切羽詰まると、それだけで国を離れてしまうのですね・・・。

税務署の統計によると、昨年から南欧からノルウェーへ移住してきた人が増加していることが分かっています。
ギリシャ 82パーセント、スペイン 3パーセント、イタリア 6パーセント。
これは、まさに経済危機に見舞われている地域と一致します。

NAV(日本のハローワークと一部かぶる)によると、たくさんのギリシャ人とスペイン人が、ノルウェーでの就職相談でコンタクトを取っているそうです。
まだ母国に残っている人もいれば、すでにノルウェーに移住している人もいますが、以前にはなかった現象とのこと。

「NAVに問い合わせてくる人は、高等教育を受けている人が多いです。特に若者が多いですね。母国では、若者の失業率の高さが顕著ですから。」

しかし、たとえ求職者が高いスキルを持っていても、ノルウェー語の能力がないので、マッチングした仕事を見つけることが難しいことです。NAVの担当者は続けます。
「彼らに、ノルウェーでの現実的な仕事探しについて情報を与えることに腐心しています。ほとんどの仕事は、高いノルウェー語の能力が求められますし、最低でも英語が必要です。」

ナポリで政治学の修士課程で勉強していたマテオさんは、母国に見切りをつけ、今はノルウェーのピザレストランでウェイターとして働いています。
「いま僕は、イタリアで修士課程を終えてから稼げるお金よりも、もっとたくさんの収入を得ています。」
彼がノルウェーに来た理由は、そこが「世界で裕福な国の1つ」だから。

さて、今まではポーランドを始めとする東欧諸国やバルト三国からの移民がノルウェーに増えた、という印象でしたが、それに南欧からの移民が加わるのでしょうか?
いわゆる「単純仕事」は、もはや非ノルウェー人で占められる時代も、そう遠くない印象です。
今後の欧州経済危機が、「北の小国」にどう影響を与えるか注目したいですね。

みんなが幸せに暮らせるように・・・

2011年11月23日(水)
オーロラは誰のもの?

ことは、Visit Finland(フィンランド政府観光局)が、自分たちのオーロラのビデオを紹介したところから始まりました。
これを受けてInnovation Norway(ノルウェー王国大使館・通商技術部)のPer Anrbe Tuftinは、「オーロラはノルウェーのものだ」と主張しました。
「私たちはただ黙って、オーロラの大きなマーケットの大半をフィンランド人に持っていかれるわけにはいきません」と彼はコメントします。

Innovation Norwayはノルウェーを売り出すために年間1億5000万クローネを使っていますが、その中にはオーロラも重要なアイテムとして含まれます。
ただ、Tuftinの「オーロラは自分たちのもの」といったコメントは、外国人たちに笑われているようです。

中東で有名なアル・ジャジーラでは、この「オーロラ戦争」についてこのように揶揄します。
「オーロラは、アラスカ、北カナダ、グリーンランド、アイスランド、スコットランド、フィンランド、北シベリアでみることができます。ですから、ある国がオーロラは自分のもの、といった発言はお笑いに過ぎないでしょう。」

ノルウェーがオーロラで神経質になるのは、過去の「サンタクロース戦争」(ノルウェー語ではnisse)があります。
フィンランドではサンタクロースのマーケティングに成功し、早々にロヴァニエミを建設し、現在も大いに賑わっています。
さらに調子に乗ったフィンランド人は、「ノルウェー人から今度は、”真夜中の太陽”を取っちゃおうか?」などと恐ろしいことが新聞にコメントが載っていたようです。

さぁ、高見の見物といきますか、それともノルウェーを応援しますか?

これはフィンランドのオーロラです・・・

2011年11月17日(木)
テロの影

2011年7月22日はノルウェーの歴史の中でも忘れられない日となりました。
一人のノルウェー人男性により、官庁街の爆破テロ、そして労働党青年支部(AUF)のキャンプで大量のテロが行われた惨劇は記憶に新しいと思います。
Aftenpostenは、生存者の一人、AUFのリーダー、Eskil Pedersen(27歳)にインタビューをしました。(2011年11月5日)印象的な内容だったので、ご紹介しましょう。

「まるでシュールレアリスティックな風景でした」とPedersenは振り返ります。
7月26日のプレス会見で彼は事件について語り、そして人々は手を叩き、「ブラボー」と叫びました。知らない人が彼に近づきハグをすることまで起きました。
まるで映画のような風景・・・。彼には現実感がなく、地に足がついていないような感覚でした。

Pedersenさんは、7月22日以降、携帯メール、手紙、Facebookを通じたメッセージでたくさんの励ましの言葉をもらったと同時に、脅迫めいた内容のものも受け取りました。
「ショックでした」と語るPedersenさん。
そして彼は、テロ以降、警察から「警報アラーム」を受け取りました。アラームのボタンさえ押せば、警察につながるもので、しばしばDV被害者が持つものです。
彼は、たとえテロを生き延びても「安全な生活」を営むことができなくなってしまいました。
また電話の番号も、身近な人しか知らない「秘密の番号」のものに変えたのです。

彼はトロンハイムの大きな集会に行くために、会場へ行きます。
会場の若者たちは、彼を讃え、熱狂的に叫びます。これは、テロの後で日常化した風景でした。でも、彼を憎む人物も同時に存在するのです。
彼はいい意味でも悪い意味でも、突然、「目立つ人物」になってしまったのです。

Eskil Pedersenをgoogleで検索すると、「feig」(臆病)というワードが出てくるようになりました。なぜならテロに襲われた際、彼は他の何人かと一緒に、ボートで現場から逃げたからです。この行為について、「彼は島を離れるべきではなかった」とする意見が存在するのです。
「私はネットで、いろいろひどいことを書かれていることを知っています。でもこうしたものを読む時間も気持ちもありません。」
ブレイヴィーク容疑者が書いた「マニフェスト」にも、目を通していないそうです。

彼が常にさいなむこと。他の生存者も同じかもしれませんが、「罪の意識」です。
「なぜ私は生き残って、他の仲間は死んでしまったのか?もっと私は違うように行動できたのでは?」
彼は考え、そして悩み続けます。

27歳の若者に、この惨劇のおとした影はあまりにも重すぎます。
有能な政治家になれるはずの若者たちが、たくさん命を落とし、また生き残った人たちは、精神的に大きな傷を負いました。
労働党は、テロ以降、会員を多数増やしましたが、代償もまたとてつもなく大きいのです。
容疑者の思惑どおりにならず、寛容なノルウェー社会の構築を願うばかりです。

幸せな日常

2011年11月11日(金)
ノルウェーDV専門家来日(その3)

2011年10月14日(金)。
イベントは18時からでしたが、オイヴィンさんと私は原稿のチェック&食事をするため、14時に待ち合わせしました。
カフェに座ったのですが、おもむろに「ジュンコにプレゼントがある」と、すご~く分厚い本を差し出されました。見ると、オイヴィンさんが今暮らしているTelemark(テレマルク)地方の豪華写真集です。こんな3キロもしそうな本をずっと持っていたんだ・・・びっくりしました!
来日してすぐに家に寄ったのだから、そこで渡せば荷物は軽くなったのに・・・。本には、感謝の言葉が記されていて、だから最終日に渡そうと考えたのでしょう。
でも、日本人だったらプレゼントやお土産は「かさばらないもの」って考えますよね。
オイヴィンさんの「愚直」とも言える性格を見た思いがしました。
ただこの重量本を持ち歩く力がないので、「帰りに渡してね」とちゃっかり、お願いした私・・・。

早目に大使館のある広尾に行って、有栖川公園で精神統一。
ようやく入館時間になって、私は会場内で準備の様子などを見ていたのですが、オイヴィンさんは、ホール外にあるプールの前の椅子に座って精神統一をされていました。

ひさかたチャイルド社の方々がたくさんお手伝いに来て下さって、受付準備をしています。
荒川さんとお友達でビデオ撮影の方、ひさかたの佐藤さんが、張りつめた様子でビデオチェックを、また中田さんも原稿のチェック、オイヴィンさんと信田さんも動作チェック、ノルウェー大使館の伊達さんも全てを見守る様子で、細かい要望にこたえて下さいました。
さて私は・・・?ノルウェー大使館のウォルター大使の挨拶を通訳するので、頂いた原稿を穴があくほど見つめて、言葉を考えていました。

17時半の開場時間になり、参加者の皆さんがどんどん入ってきます。最前列の関係者席で、どんな人が来るのかなぁとぼーとしていると、「Jimmy Choo」の紙袋を持った女性が目に入りました。
この会場に「Jimmy Choo」は不似合いだなぁと思っていると、女優の東ちずるさんでした。おお、さすが華やかだわぁと一般人は感心します。

いよいよシンポジウムスタート。中田さんの司会のもと、大使の挨拶(通訳は激緊張)、荒川さんの出版までの経緯説明、パンドラ社からDVDの紹介と進んで行きます。
私は、これら日本語をオイヴィンさんと大使、そしてピッピさんという大使館員にノルウェー語に通訳してウィスパリングしなくてはならなかったのですが、かなりでかい声になってしまい、反省。
さてオイヴィンさんの講演です。私は通訳席に移動します。
あらかじめ原稿は頂いていたのですが、緊張度は今までの仕事の比ではありませんでした。オイヴィンさんは、ATVの歴史や実際の加害者プログラムについて、また「パパと怒り鬼」がノルウェーの小学校で使われた事例の紹介などに触れました。
世界経済フォーラムのレポートにより、ノルウェーは男女平等において世界第2位です。 それでも依然として、DVは深刻な社会問題であること、そして被害者の子どもをいかに早い段階で救い出すことが大事かを強調されます。
また原稿の最後には、オイヴィンさんが来日中に「日本で足りないもの」を付け加えました。
「政治家たち、フェミニストたち、シェルター、その他DV研究者との密接な協力が不可欠。」と。

講演は無事に終了し、信田さよ子さんの講演にうつりました。短い時間でまとめるのは大変だったと思いますが、分かりやすい言葉で日本のDV対策、加害者プログラムについて語って下さいました。
その後、質疑応答です。これは事前原稿がないので非常に緊張しましたが、何とか任務を全うすることができ、最後のプログラムである大使公邸のレセプションへ会場を移動します。

大使公邸はすごい人で、詳細に言えばすごい女性の数で、大使もレセプションのスピーチで「もっと男性の参加者がいるべきだった」とおっしゃっていましたが、私も同感でした。DVは男性・女性ともに取り組む問題なのですから・・・・。
大使の乾杯の挨拶のあと、すぐにマスコミ各社を囲んで、質疑応答の時間を作りました。記者も全員女性の方です。緊張に時間が続き、よくこれだけ集中力が保てたなぁと今だから思えます。

ようやく取材の時間が終わり、大使夫人に「食事を食べなさい!」と優しく後押しされましたが、緊張のせいか空腹は全く感じず、むしろいろいろな方とお話したいという気持ちでした。通訳をやったおかげで、皆さんには顔を覚えていただき、声をかけて頂き、様々な方々と興味深いお話をすることができました。
時間が過ぎるのは本当に早くて、しかも翌日はフライト時間の関係で早朝4時台に起きないといけません。その場を立ち去る時間になりました。オイヴィンさんとタクシーに乗り込み、お互いの労をねぎらい、そして重たいプレゼントを渡していただき、「では明日!」と別れます。

本当に最後の日。飛行機は成田9時半なので、7時半には空港に着かないといけません。京成スカイライナーの始発に乗るため、5時台に四ツ谷駅で待ち合わせしました。オイヴィンさんは仕事をやり遂げ、晴々としたお顔でした。私は最後まで気が抜けず、日暮里駅でチケットを買い、そして改札でお別れしました。

家に帰ってから、しばし放心状態でした。何日か後、朝日新聞や毎日新聞に記事が載り(毎日では私の顔写真も出ちゃいました)、何だか不思議な気分です。
今回のシンポジウムでは、本当にたくさんの人が「チーム」となって、お互いに持てる力を出しあって実現できました。絶対に一人では成し遂げられなかったことです。
改めて、皆さんとお仕事できたことに感謝しても、しきれません。素晴らしい体験をありがとうございました。
オイヴィンさんともノルウェーでまたお会いしたいですね♪
(おわり)

講演前のオイヴィンさん(ついにジャケット着用)

2011年10月25日(火)
ノルウェーDV専門家来日(その2)

空港の到着ロビーで、ノルウェー国旗を持ちながら待つこと1時間。
ようやくØivind(オイヴィン)さんに会うことができました!
この日は長旅でお疲れなので、ゆっくり休んで頂くことにしました。

翌日は、夜しか予定が入っていないので、東京観光をします。
駒込の六義園、都庁の展望室、新宿のデパートなど。
「何もかもがノルウェーとは違う」を連発されていました。
駅のきれいさに感心し、またわざわざ階段の落ち葉を掃除している清掃員を見て、「ノルウェーでは、落ち葉を掃除する人なんていないよ」とびっくりされた様子。

一方、東京の人ごみにかなり消耗されたようで、一緒に歩いていて、彼の疲労を感じました。何といっても人口4000人の小さな町から来たんですものね!

夜は、渋谷でひさかたチャイルド主催の食事会でした。
ワーキンググループ他、翻訳者の大島かおりさん、信田さよ子さん、ひさかたの編集部からも何人か参加され、宴は賑やかに進んで行きます。
オイヴィンさんは英語も上手なので、大島さんと英語でいろいろ話していました。その日は鍋料理に前菜が何品か出たのですが、「日本人は、こんなに夕食を食べるの?」と質問攻めにあいました。
確かにノルウェーの料理は、レストランでも前菜、メイン、デザートだけですものね。

宴は22時くらいまで続いたのですが、すっかり疲れてお腹いっぱいのオイヴィンさんは「タクシーでホテルに帰る」とおっしゃったので同行しました。車中、大島さんのことを「素晴らしい人だね」と絶賛。やっぱり、国境を越えても分かるんだなぁ~と納得しました。

翌日は、DV加害者プログラムを行っている「アウェア」を訪問。荒川ユリ子さんも同席されました。
オイヴィンさんが自分たちATVの活動を説明しています。スウェーデンとは違い、ノルウェーの加害者プログラムは、フェミニストと協力して、シェルターの設立運動と並行し、発展していった様子などを説明。
ATVは現在、国と地方自治体の経済的援助を受け、政治家とも密に協力している、と言いながら「ノルウェーのDV対策はまだまだ」と強調されると、ないないづくしの私たち日本人は、「まだまだなんかじゃありません!」と言いたくなりました。
「アウェア」を訪問し、困難な状況の中で活動を続けていらっしゃる様に、心を打たれました。

翌日は、信田さよ子さんが所長を務める「原宿カウンセリングセンター」で、「RRP研究会」の皆さんと勉強会と食事会の予定が夜に入っていました。
原宿ならば・・・ということで、はい、お決まりの「明治神宮」と「代々木公園」です。
神道について、「何?どういうもの?」と執拗に質問を受け、「ええっと八百万の神様がいて・・・」としどろもどろに説明。「え?八百万?どうやって神様を区別するの?」「・・・・」
勉強不足を痛感しました。

「RRP研究会」は、信田さんを中心に、女性が多い構成になっていました。男性は精神科医の方がお一人いただけです。
オイヴィンさんが、自分は精神科看護師として、「高齢者虐待」から取り組みを始めたこと、そして高齢者の話を聞くうちに、ほとんどの人が幼少期や青年期に、親から何らかの暴力や虐待を受けていたことに気づき、関心がそちらへ移った経緯などを説明します。

特に妊娠中の女性がパートナーから暴力を受けてしまうと、子どもが出産前から暴力被害者になってしまう現状を話されました。そして脳神経学的に、非常なダメージを負ってしまうことから、「いかに早い段階で、子どもへの暴力を発見すること」の大切さをアピールされていました。

またDV対策には、政治家たちとフェミニストたちの支援が不可欠と主張。
ATVのように公的支援を受けること、国レベルで様々なプロジェクトを行うことなどは、政治家の協力なしには実現できない、とおっしゃると「はい、その通りです。でも日本では・・・」と、日本の非連携社会の現状が浮かび上がってきます。
オイヴィンさんは日本の政治家たちにDV対策について取り組み姿勢が希薄なことを聞いて、滞在中、早速、ノルウェーの国会議員に電話したそうです。
「ノルウェーはサーモンだけではなく、DV対策についても海外へ知らしめるべきだ」と提言されたと聞き、そのアクションの早さ、風通しの良さに、改めて感服しました。

勉強会の後はお楽しみの食事会。
雰囲気のある和食屋さんで、オイヴィンさんも美味しい料理を堪能。
RRPのメンバーの方々は勉強熱心かつユーモアのある方ばかりで、慕われる信田さんのお人柄が感じられます。
食事会では、ノルウェーについて基本的な質問が多く出て、私は通訳という立場以上に、ノルウェーについて熱く語ってしまいました。
信田さんも「オスロに行ってみたい!」とおっしゃって下さり、ううっと感涙です。

またタクシーで帰途につきながら、明日はいよいよ大使館のイベントということで、二人とも「頑張らないと!」という雰囲気になります。
オイヴィンさんは日本でDV対策に取り組み方々との出会いを通じて、自分の原稿を手直ししたいとおっしゃり、「おっしゃ~!!かかってこい!!」と通訳の私も気合が入ってきました。

さて運命の10月14日(金)になりました。
(つづく)

日本で最初に食べたもの

2011年10月20日(木)
ノルウェーDV専門家来日(その1)

10/10から1週間は「怒涛」の1週間でした。
7月から準備をしてきたノルウェーからDV専門家が来日し、私はコーディネートおよび通訳を務めることになっていたのです。
招聘はノルウェー王国大使館。何度かご紹介している「パパと怒り鬼~話してごらん、だれかに~」(ひさかたチャイルド社刊)の日本語版出版に合わせて、ノルウェー大使館初のDVのシンポジウムを開催することのご提案をいただきました。

本書の元々のアイディアを書かれ、日本語版の解説も執筆されたATV(Alternetiv til Vold)の家族セラピスト、Øivind Aschjemさんを呼ぼう!と私たちは盛り上がりました。ATVはヨーロッパで初めて、DV加害者男性のプログラムを実施した団体で、現在では被害女性、子どもに対するプログラム、セラピーも提供しています。
ノルウェー全国に支部が11か所あり、他の北欧諸国にも支部が広がっています。

オイヴィンさんに、「日本に来ませんか?」とメールを送ったら、すごく喜んでもちろん「OK」。それからオイヴィンさんは1カ月の夏休みに入るのですが、「ボイの絵本出版プロジェクト」(荒川ユリ子さん、中田慶子さん、青木順子)および「ひさかたチャイルド」の編集者・佐藤力さん、そしてノルウェー大使館広報官の伊達朱実さんは、シンポジウム開催の10月まで「あまり時間がない!」と焦り、準備を進めて行きました。

まずシンポジウムをどういう内容にするか?
オイヴィンさんの講演ではどんな内容でお願いするか?
そして、日本のDV対策の現状について第一人者の方のお話が伺いたい、ということで、日本語版の解説を書いて下さった信田さよ子さん(原宿カウンセリングセンター所長)にお願いすることになりました。
もともとこんな著名の方にお願いするのは、「無謀」という気がしたのですが、中田慶子さん(DV防止ながさき)が信田さんと懇意にしている関係で、なんと講演にご快諾を頂けたのです!!

それからどんな方をお招きするか。
荒川さんや中田さんのお知り合いで、DVやジェンダーの問題に関心がある方をリストアップしていったらば、最初は定員「80名」くらい、という話だったのに、どんどん増えて行きました。
そして一般の方々からの応募もすぐに増えていって、いつの間にか「120名」という大使館の多目的ホールの椅子ギリギリまで、人数になっていきました。まさに「嬉しい悲鳴」です!

さてオイヴィンさんは夏休みが明け、さっそくこちらから原稿に盛り込んで頂きたい点をお知らせし、執筆に入りました。
オイヴィンさんはノルウェー人とは思えないほどメールのレスは早く、締め切りも順守して下さる方で、私は心の中で「うう・・・」とうれし涙です。
頂いた原稿を見て、私たちワーキンググループは、「確かに素晴らしい原稿だけど、もっと具体例を知りたい」と感じ、細かい手直しを幾つもお願いしました。特に、「パパと怒り鬼」がノルウェーでどんな使われ方(例えば学校などで)が知りたかったのです。

オイヴィンさんはこちらからの度重なる修正や質問に真摯に答えて下さり、初校から比べてずっと変わった最終稿になりました。
私は間に入って、ワーキンググループの要請をノルウェー語に直し、修正原稿をまた日本語にする、という作業に従事したのですが、「これはやらなくてはいけない仕事なんだ!」といつになく、使命感に燃え、できるだけ迅速を心がけ、熱心に取り組みました。

一方、ひさかたチャイルドの佐藤さんは事務方のお仕事を一手に引き受けて下さり、私が気づかないような細かいチェックなどに目を配って下さりました。

オイヴィンさんの来日スケジュールも同時並行で決めて行きました。滞在は、10/10~15まで。その間、日本で先進的なDV加害者プログラムを実施した「アウェア」、また信田さんの「原宿カウンセリングセンター」へ訪問が決まりました。
さらに出版関係者の打ち上げにもご参加が決まりました。
空いている時間は、少しでも東京を観光して頂こうと、私が考える番です。

・・・・と7月から10月に「あっ」という間に時間は流れ、いよいよ明日が来日に迫りました。
オイヴィンさんはガイド泣かせの恐ろしいエアフライトを予約していました。

10/10、朝7時半成田着。

そんなぁ~、と泣き泣き早起きして成田へ向かいます。
(つづく)

「パパと怒り鬼~話してごらん、だれかに~」

2011年10月7日(金)
国家予算とあなたのお財布

2011年10月6日、ノルウェーの2012年国家予算案が発表されました。
各紙一斉に組まれた特集は、「国家予算によって、あなたのお財布にどんな影響を及ぼすか?」というもの。ちょっとご紹介してみましょう(Aftenposten, 2012年10月6日)。

まず税負担が高くなるのは、ディーゼル車です。
ディーゼル費用とNOx排出費用が2012年に、より高く乗るので、ディーゼル車に乗っている人は、さらに高負担に泣くことになるでしょう。

ノルウェー人の利用率が高い保育園ですが、月当たりのマックス園料が2011年と同じレベルにするよう提案された模様。
これは他の物・サービスの物価上昇率と比べると、1,2パーセント安くなる勘定だそうです。2012年、両親が支払うマックス園料は、2330クローネ(約3万)/月、25630クローネ(約33万)/年になるそうです。自分が子どもいないので、安いのか高いのかさっぱりわかりませ~ん。

あととかく政争の具とされてきた「現金育児支援金」kontantstøtteは、2歳児に対する支給を廃止することを提案するそうです。

NRK(ノルウェー国営放送)の受信料を上げることが提案されました。消費税込で、90クローネ値上げし、2580クローネ(約3.3万円)。2005年には、1968クローネだったから、結構、上がっていますね。日本でNHKの受信料をこんなに上げるといったら、暴動が起きそう・・・。
ロンドンオリンピックの放映権などが主な値上げの原因みたいです。

財産にかかる税も、狙い撃ちされるようです。
例えば、外国に持っている不動産や余暇のためのセカンドハウス(ヒュッテ)などにかかる税が10パーセント増になる模様。
お金を持っている人からいただきましょう、という発想でしょうか。

たばこやお酒は狙われやすいですが、税負担に変化はないようです。

うらやましいことに、2011年、国家収入は支出を上回っています。そして2012年も同じ傾向にあるようです。
借金大国の日本人からみれば羨ましい財政健全性。
でも税金は上げるところは上げるんですね。まぁ、デンマークの「脂肪税」はノルウェーでは導入されないようですが・・・。「ピザ税」とか「タコス税」「ケバブ税」とかやり出したら、最後です。

Tran(タラの肝油)は影響なし?

2011年9月30日(金)
スウェーデン人より頭がいいか~?

みたいな見出しに釣られて、記事をクリック。
早速、内容をご紹介しましょう(NRK、2011年9月29日)。

PIAACテストってご存知ですか?
「国際成人力調査」と訳され、ネットで検索したら、「OECDが実施する”成人が持っている日常生活や職場で必要とされる技能(成人力)”を測定することを目的とした初めての本格的な国際比較調査であり、欧米諸国や日本を含む26か国が調査に参加する予定です。」って書いてありました。ふ~ん。

PISAテストならば、よくフィンランドが「フフンッ」って感じで上位になって、「学力世界一」という羨ましすぎるタイトルを手にしましたね。

で、このPIAACテストにノルウェー人1万人が参加する予定です。年齢は16歳から65歳まで。この手のテストとしては、世界最大規模で、ノルウェーでももちろん最大級のものになります。
中央統計局(SSB)の担当者によると、「私たちは、ノルウェー北から南まで150人ほどとインタビューしました。以前からの経験によると、人々はテストを受けることに、刺激とともに学べる機会が得られると前向きにとらえています。特に、この調査結果がノルウェーの社会にとって大きな意味があることに意義を感じているようですね。」とコメント。

OECD諸国が参加するこのテスト。西ヨーロッパ諸国、北米、日本、韓国など列強国が顔をそろえています。
それなのに記事の小見出しが、「私たちはスウェーデン人より結果が上か?」になっているのはWhy?
どうやら、隣国との結果の比較にもっぱらノルウェー人の頭は占められているようで・・・。
なぜ、フィンランドと張り合おうとしない??はじめっから、勝ち目はないと思っているのでしょうか?

いずれにしても結果が楽しみですね。日本とノルウェーではどちらが上になるか、楽しみであります♪

ぼくたち、スウェーデン人より賢いです!

2011年9月21日(水)
ブラック・メタラーの聖地巡礼

何度かこちらのサイトでは触れていますが、「ブラック・メタル」というメタルジャンルはノルウェーで人気があり、国際的なバンドを輩出しています。
ノルウェーのブラック・メタルが国際的に耳目を集めたのは、90年代初頭にかけて、教会放火や殺人などイリーガルな行為がセンセーショナルに報道されたことが関係しています。ブラック・メタラー=悪魔崇拝者、のようなレッテル貼りが行われてのもこの時期でした。

さて2011年。
再び、ブタック・メタラーをめぐる記事を発見しました。教会を燃やした?ノン、ノン。
とある教会が、ブラック・メタラーたちの聖地となっているようなので、ご紹介いたしましょう(Aftenposten紙、2011年9月20日)。

何でもオスロのホルメンコーレンチャペルに、世界中からのブラック・メタラーが聖地巡礼よろしく訪れているそうです。
2008年以降、人気バンドSatyriconのAnders Oddenが、たくさんのブラック・メタラーたちをバスでホルメンコーレン・チャペルに連れて行きました。実はこの教会、1992年に放火され、ブラック・メタラーのVarg Vikernesが放火罪によって実刑を受けた曰くつきの教会なのです。

何だか嘘みたいなネーミングですが、「ブラック・メタル・バスSightseeing」というツアー会社が、何度かホルメンコーレンチャペルまでのツアーを催行しているようです。目的は、1991年から1993年までの、ノルウェーメタル史に触れて欲しい、とか。
「特に外国のメタルファンには、このバスツアーは人気がありますよ。今年は6回ツアーを催行し、全て売り切れです。」とツアー会社のコメントです。

燃やされた教会は4年後に、建て直されました。その新しい教会にぐっとくるブラック・メタラーが多いようで・・・。
「外国のファンたちは、新しい教会がブラック・メタル教会のように見えると感心しているよ。インド、ブラジル、メキシコの客を連れて行ったけど、新しい教会は真っ黒に塗られ、ヴァイキング時代からの装飾が施されている、って感動しているね。」とAnders Oddenは語ります。

1992年、11件の教会放火事件がありました。そのうち7件はブラック・メタラーが関与していると言われています。
前述のVarg Vikernesは3件で実刑を受けましたが、Anders Oddenは、「自分は教会放火とは距離を保っていた。いくらキリスト教が好きじゃないからって、建物自体には他にたくさんのクオリティーがあるだろう。たとえばCDジャケットのモティーフになったりとかね。」と最後は冗談ぽくコメントしました。

さて当の教会側はどう思っているのでしょう?
実はAftenpostenが取材に行くまで、バスツアーに気づいていなかったようです。そ、そんな・・・黒ずくめの怖い人たちが教会をじろじろ見倒していたかと思うのですが・・・。
オスロの教会団体にインタビューすると、「別に問題ない」とのクールな回答が。
「もしブラック・メタラーたちが教会にやって来て、それに感動するのならば、問題はありません。ちょっと変だとは思うけど、教会を訪れたり、写真を撮ることを邪魔することはできませんから。」

ということで、さすがキリスト教関係者の方は昔、たくさんの教会が放火という憂き目にあったのに、「迷える子羊」たちに寛容ですね。まぁ、宗教の本質でしょうか?
日本からもブラック・メタラーたちがこの教会を訪れるようになって、「どこにでもいる日本人」の称号をぜひ勝ち取って欲しいものです。

Holmenkollen kapell
Holmenkollen kapell
Foto: Matthias Rosenkranz
no.wikipedia.orgより転載(写真をクリックしてご覧になれます)

2011年9月15日(木)
悩ましきもの・・・その名はチップ!

ノルウェーでのチップの作法。
こんなに行っている割には、曖昧です。
でも曖昧なのは私だけではないと知りました。ノルウェー人自身、「どれくらいチップを置けばいいのか」悩んでいるという記事を見つけました。
早速、ご紹介しましょう(NRK、2011年9月14日)。

「ノルウェー人の多くは、チップについて確信が持てていません」と語るのは、ノルウェーのサービス業の専門家。
かえってノルウェー人が外国に旅行で出かけるようになり、混乱が生じているようです。
「人々は海外に旅行し、たくさんのチップが期待されていることを経験しました。多くの国では、サービス業のお給料が悪く、チップで生活しているのが原因です。」

食知識について博士論文を書いた学生によると、「ノルウェー人はチップを払いすぎ」とのことです。
「ビールだけを頼んで、それに10パーセントのチップを置けば半リットルで5クローネになってしまいます。」
そしてノルウェー人は、それが良くないサービスであってもチップをたくさん置いてしまいます。
「本来、ノルウェーではチップを置くか置かないかは自由です。置くことは良いサービスだったということを意味するものなのです。」
ですから、悪いサービス、普通のサービスの場合、チップは置く必要はない。もし普通よりも良いサービスだと感じた場合、5~10パーセントのチップを置きましょう、と専門家は指南します。

日本人も海外に行って、チップの問題で頭を悩ませますが、ノルウェー人もそうだったなんて、なんか嬉しいですね。
ノルウェーに行かれて、「うん、これは気持ちのいいサービスだ」と感じた時のみチップを置くようにいたしましょう♪スウェーデン人のウェイター・ウェイトレスかもしれませんが・・・。

チップ払ってますか~?

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