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ジャンルを問わず、ノルウェーの新聞などから、
面白い・興味深いニュースを紹介するページです。
この度、日記風にリニューアルしました。
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2007年7月10日(火)
中央統計局(SSB)のひみつ

私もお世話になっている中央統計局(SSB)。
人口や平均寿命、合計特殊出生率といった基本的な数字から、ノルウェー人の休暇の平均日数、人気の旅行先などA〜Åのカテゴリー別に、たくさんの統計が揃っていて、見るものの想像を駆り立ててくれます(サイトはこちらからどうぞ)。

そのSSBの内部を覗いた興味深いレポートが、Dagbladet(ダーグブラーデ)紙の土曜日のおまけMagasinetに掲載されていたので、ご紹介いたしましょう(2007年6月23日)。

まず驚いたのが、SSBは月曜〜金曜まで毎朝10時きっかりに定例記者会見を行っている、ということでしょうか。取材した日に紹介された新しい統計は、「家庭ごみについて。半分が分別されている。最も家庭ごみを捨てるのは、南東ノルウェー地区」というものだったそうです。
こんな感じで、毎朝、新しい統計が多い日は10個くらい発表され、それがノルウェーの新聞やテレビなどマスコミを通じて、報道される・・・という流れですね。

人気のある統計は?の問いに、「消費物価インデックスに興味を持つ人が多いね。でも一番人気のある統計は、流行の名前に関する統計だよ」というお答え。
私も、「ノルウェー語のしくみ」で使わせていただいた「流行の名前」統計は、ノルウェーでも人気があったのね〜と改めて感心しました(統計はこちらからどうぞ)。

インタビューしたSSBの職員の方で、統計に関する本を執筆中の方がいます。
彼は、統計が特に2つの職種の人間によって濫用されていることに怒っているとか。分かりますか?政治家とマスコミです。「マスコミは、数字を劇的にとらえニュースにしたいから、そして政治家は自分たちの政策と適合性を持たせるために数字を利用する」と。
確かに、統計は数字の積み重ねですが、新聞などのタイトルの付け方によって、焦点の当て方が変わってきますよね。

このSSBは、オスロの古い建物の中に地味に鎮座し、ここがSSB?と気づく人もなく、日々、様々な統計を発表しています。
面白かったのは、インタビューに答えた職員が全員ヒゲをはやしていたことでしょうか・・・。ヒゲと統計の関係について謎は尽きません・・・。

中央統計局の統計について。
SSB全体の職員数は、967人(うち23人は育児休暇中)、578人の職員がオスロの事務所在勤、389人がKongsvinger(コングスヴィンゲル)在勤。男女比は、男性45パーセント、女性55パーセント。平均年収は、30098クローネ(約662万)だそうです。


消費物価インデックス・・・?

2007年2月23日(金)
フルーツ&野菜、増えてます


たまには、「食」に関する話題を取り上げてみましょう。


ノルウェーでは、手に入る野菜や果物の種類が少なかった・・・とお嘆きの日本人は多いと思います。
1980年代末、ノルウェーのトロンハイムで2年ほど生活した中田慶子さんの著書「私の出会ったノルウェー」(ドメス出版、1992年)から、当時のスーパーマーケットの様子を記した箇所を引用してみましょう。
「野菜の種類が極端に少なく、常時あるのは小ぶりのトマト、25センチほどの大きなきゅうり、子どもの頭ほどの蕪、人参、じゃがいも、ピーマン、葱、オレンジ、バナナなど」(p.17-18)
そうだったんですね・・・と遠い目になります。

しかし、ここ数年、ノルウェー人の野菜と果物の消費量が増えているという記事を見つけました(Aftenposten, 2007年2月17日)。変化は確実に起きています。

大手スーパーの一つ、ICAではあるテスト販売を行いました。レジ近くに陳列している品物をチョコやお菓子から、りんごやにんじんに変えたところ、まんまと手を伸ばすお客さんが多かったそうです。日本でも見られない斬新なアイディアですね!(素直にほめてます)

他の大手スーパーREMA1000でも、野菜やフルーツコーナーを増設した店舗での反応は大きく、25パーセントの売上げ増につながったそうです。
以前では、アジア系のお店でないと手に入らなかった唐辛子(チリ)、しょうが、ライチやマンゴといった商品は、今では普通のスーパーで普通に入手できるようになったとか。隔世の感がありますね。
特に人気のある商品として、マンゴ、パイナップル、アボカド、アスパラガスなどが挙げられていました。マンゴやアボカドの人気は、日本とも重なります。

元々なじみのあった食材にも変化が起きています。例えばトマト。5年前には、「普通のトマト」が97パーセントを占めていましたが、今では47パーセントに落ち込んでいます。その代わりに「チェリートマト」など様々な種類のトマトが、陳列台に並ぶようになりました。この傾向もやはり、日本と似ていますね。「食のグローバル化」と言えるのでしょうか。

エキゾチックな食材の人気の背景として、テレビの料理番組や有名シェフのレシピが与える影響が指摘されています。そのうち、ノルウェーでも日本のようなグルメレポーターが出現するでしょうか?(もういます?)

前述のREMAグループでは顧客サービスの一環として、「アボカドやパイナップルが熟しているかの見分け方」、「マンゴをどうやって切り分けるか」といった疑問に各店舗が答えられる体制を目指しているようです。
実演ショーでしょうか、やっぱり。



スーパー店内の様子

2007年2月22日(木)
ノルウェージャンプ陣、悪条件に勝てるか?


スポーツネタは、普段ちゃんと読んでおらず、知識がいびつです。

そんな私でも、札幌で開催されるノルディックスキー世界選手権の記事が、ノルウェーの新聞をにぎわすのを見て、テンションが高まってまいりました☆

タブロイドの雄、VG紙をのぞいてみましょう。
2月21日の記事に、「サッポロで寝不足」というセンセーショナルな見出しが!(この新聞では常套です)
ノルウェージャンプ陣は長旅の疲れ、8時間の時差で、「すっかり寝不足状態」なのだそうです。そのせいか練習中も精彩を欠いている・・・。
トム・ヒルデ(Tom Hilde)選手(みなさんご存知ですか?)のコメント「昨夜は3分しか眠れなかったよ」。
昨夜の「報道ステーション」(テレビ朝日)で「鳥人」と紹介されたアンネシュ・ヤコブセン(Anders Jacobsen)選手も、同様に睡眠リズムをつかめていないようです。
「飛行機では睡眠薬を飲んで、ずっと眠ったんだ。でも本当は、睡眠薬を飲むのは好きじゃない。僕の体は薬の作用に比べて、小さいからね」(ジャンプ選手は痩せていますから・・・)
何とか本番までにリズムを取り戻して欲しいものです。Hurra Norge!

VGネットでは、ジャンパーたちのブログが楽しめますよ。
日本で乗りあわせたタクシー運転手さんの写真が載っていました。スーツ着用&白い手袋スタイルで運転しているのが、面白いみたいですね。コメントに「ノルウェーのタクシー運転手は、日本人を少し見習ってみれば」とありました。
日本人ではおなじみの風景でも、ノルウェー人から見れば面白くて新鮮に映る場面を、ブログで取り上げてもらいたいですね。


ノルウェーでジャンプは国民的人気!

2007年2月10日(土)
「ピンチクリフ」な一日


雑誌pen(2/15号)によると、女優のミムラさんは「ピンチクリフ・グランプリ」を3回もご覧になったそうです。

私も女優を目指すべく(?)、スクリーンでの鑑賞3回目を、渋谷のシアターNにて体験いたしました!

映画館では、景品につられて映画のアンケートにも答えました(当たりますように・・・)。
模範的な観客がそうであるように、パンフレットも当然、買わせていただきました。
中を見ると、78年に日本で上映された際に「キネマ旬報」が行った監督イヴォ・カプリーノの来日インタビューが再録されていて、とても興味深かったです(特に、世界的に有名なチェコの人形アニメに言及した部分)。
あの時は、実物大のイル・テンポ・ギガンテ号も日本にやって来たんですよね。東銀座の「東劇」前に駐車しているイル・テンポ・ギガンテ号の写真が、感涙ものです。
「プロダクション・ノート」の部分は、翻訳したものが掲載されているので、ぜひお目通し下さいませ。

映画鑑賞後、「ピンチクリフ」とタイアップしたメニューがある原宿の「Wired Cafe 360」へ行ってみました。ノルウェー通の友達と一緒だったのですが、「ノルウェー風オープンサラダ」を注文したのは私だけ(友達は、「ココナッツカレー」を注文してました・・・裏切り??)。
クレープにたくさんの野菜とスモークサーモン、カッテージチーズが乗っかって、ヘルシーな一品です。
ここ日本ではすっかり陽の当たらない「ノルウェー風料理」を提供して下さるだけ、ありがたい思いでいっぱいでした。ううっ。

おしゃれカフェ店内には、「ピンチクリフ」のスチール写真やポスターが飾られています。撮影スタッフの中で密かに「萌えキャラ」だった男性のお写真もあり、喜んじゃいました(まさか彼も30年後、自分の写真が東京のカフェで飾られるとは、想像だにしなかったでしょう・・・)。


以上、ご報告でした☆

ノルウェー風サラダです
2007年1月16日(火)
人口増


EU加盟国(特に東欧圏)が増えるにつれ、欧州内での「民族移動」が日本でも報道されています。より高い賃金を求めて、またより安い労働力を求めて、人の流れは生まれているようですね。
かつては、「欧州の最貧国」扱いだったノルウェーも、その流れとは無縁ではありません。
今では、豊富なエネルギー資源、好調な経済成長に支えられ、、むしろ「経済移民の受入国」として、人口が増えていることが報道されました(Aftenposten, 2007年1月6日)。

どんな国からノルウェーへやってくるのでしょうか?
対象国への転出・転入を比較し、ノルウェーへの転入が多い国は以下の通りです(2006年10月1日時点)。

  1. ポーランド・・・2位以下と4倍差!(ぶっちぎり〜)
  2. ドイツ
  3. スウェーデン
「人口増」につながった要因は、こうした海外からの転入+出産数の増加も挙げられていました。人口統計の専門家は、2007年も人口増加の傾向は続くであろう、と予測しています。

この記事には、ノルウェー女性と結婚したドイツ人医師が、ノルウェーで職を得て、家族幸せに暮らしている様子も載っています。「ドイツとノルウェーでは、働き方が違う。ノルウェーの職場の方がもっとリラックスできて、楽しいよ。給料もいいしね」、といろいろな意味で示唆に富んだコメントを寄せています。

確かに、私が10年前にオスロ大のサマースクールに参加した際、ノルウェー就職を希望するドイツ人医学生が何人かいました。みんな、今頃ノルウェーで働いているのかな〜?と、つい遠い目になります(大学には、「医学部学生のためのノルウェー語講座」が用意されてます)。

ただ、こうした人口が増えている地域は、オスロやアーケシュフースといった都市部のお話です。人口流出に悩む国があるのと同じように、ノルウェー国内でも「過疎化」に悩む地域が存在します。


スウェーデンとのラフな国境
2007年1月12日(金)
歌うように話してます♪(ニュース番外編、すみませんちょっと宣伝です)


新刊「ノルウェー語のしくみ」(白水社)が2月中旬に発売予定です。

今回は会話集ではないのですが、文中に登場するノルウェー語例文のCD録音を行いました。
・・・といってもご安心下さい!吹き込み者は私でなく、ノルウェー人の先生です(東海大学北欧学科のグンナル・オルセンGunnar Olsen先生)。

一つ一つの例文は短いものが多いのですが、それでもやっぱり、「歌うように話す言葉」を体感することができました。
グンナル先生の声は深くてよく通るので、「私は鶏肉が好きです」Jeg liker kylling.といった簡単な文でも、心の琴線にじーんと触れ、「私も鶏肉が好きです!」とスタジオで叫びたい衝動に駆られるほどでした・・・。

例文は全部で95ありますが、最後におまけとして、私が選んだ詩やテキストも読んでいただきました。ナンセンスな現代詩、子ども視線で書かれた楽しい詩、ノルウェー国歌でおなじみの壮大な詩、94年サッカーワールドカップ予選(ノルウェーVSポーランド戦)をユーモラスに振り返ったテキストなど。組み合わせは、めちゃくちゃです。リミックス感覚で楽しめるかもしれません・・・。

それではみなさま、よろしくお願い申し上げます☆(まだ作業中ですが・・・)

美声のグンナル先生
2006年12月28日(木)
「指輪物語」をニーノシュクで

「ロード・オブ・ザ・リング」の映画化で一躍、話題となった「指輪物語」(原作 J. R. R. トールキン)。
ノルウェー版では、「Ringenes Herre」(指輪の覇者)というタイトルで、原作と映画ともに親しまれてきましたが、「ちょっと待った〜」とばかりに、新訳をひっさげて登場したミーレン君33歳(E..G.Myhren)。

「今さら、新訳?」と出遅れ感がありますが、なぜか大きな話題を集めているのは、ニーノシュクで翻訳を完成させたから、であります。

人口460万のノルウェーに、ブークモール(デンマーク語に近い)とニーノシュク(方言重視)と呼ばれる公用語がありますが、使用人口は9:1くらいの割合(ちなみに、両方「ノルウェー語」なので、似ています)。とかくブークモール優勢の状況では、翻訳物もニーノシュクだと「売れない」という理由で敬遠されがち。
そんな「逆風」の中、3年をかけて全訳を完成させたミーレン君のインタビューをご紹介しましょう(Aftenposten 2006.12.16)。

まずタイトルが、「Ringdrotten」に変わっています。
drottって何?不勉強な私は、辞書で調べて「王、覇者」という意味ということを知りました。受ける印象も微妙に違うような・・・。
ミーレン君によると、原作者のトールキンは、「古英語を起源とした方言づかいに、こだわりがあった」。そこで、自分も古いノルウェー語(古ノルド語)を起源とするニーノシュクや方言を使い、原作者の意図に沿うよう努めたそうです。
「ブークモールの翻訳では、足りない何か」を求めて、ミーレン君の旅が始まったのですね!

 主人公のフロドや同じホビット族の仲間の話す言葉は、Ål(オール)地方の方言(画像はこちらから)、ゴンドールの人々はTelemark(テレマルク)地方の方言を選んだそうです。
のどかな田園風景が目に浮かぶ、ディープな方言が楽しめそうですね(私には、理解不能でしょう・・・)。
一方、主人公の敵役、怪物のオークたちが話す言葉は、オスロの海辺Vika(ヴィーカ)地区の古い方言をセレクトしたそうです。田舎の善良人VS都会の荒くれ者、という図式でしょうか・・・。

フロドのセリフを、ミーレン君の翻訳とブークモールで比較してみましょう。

「僕は、そんなことをしたくない」
翻訳: Eg vil ikkje gjera dette.
ブ:  Jeg vil ikke gjøre dette.
微妙な違いをお楽しみいただけましたか?

外国語の方言→日本語に翻訳される場合、なぜかみんな「〜だべ」にされてしまう、という指摘がありますね。そんな中、言葉は違えど、ミーレン君のこだわり・熱意は脱帽もの。
 ・・・といっても、日本語版も読んだことがない私には、ニーノシュク版は遥か彼方・・・です。

ホビット族ではありません
2006年11月6日(月)
ノルウェー映画「ピンチクリフ・グランプリ」
誰からも愛されたい・・・と願っても、なかなかそうは行かないものです。
でも、ノルウェー人のほぼ全員が「大好き!」と公言するのが、この「ピンチクリフ・グランプリ」(原題 Flåklypa Grand Prix)でしょう。今まで悪口言っているノルウェー人に会ったことがありません。おそらく、ノルウェー人でなくても、一度、本編を見れば「いい映画!」と思うと思います。
そう、国境を越えていい映画はいい!・・・ですよね。

実は、本編の制作は今から30年前の1975年。日本でも、1978年に上映されたそうです。
めでたく、来年初頭の再上映が実現し、映画資料の翻訳に携わりました。その恩恵で、試写会にて一足早く、「ピンチクリフ」をYoko管理人と一緒に見てきました〜。

あらすじはシンプルです。
主人公は自転車修理工のレオドル。実は天才的な発明家です。アヒルのソランとハリネズミのルドヴィクと一緒に山の上で、静かで牧歌的な生活を送っています。
そんなある日、かつての助手が自分の設計図を盗み、自慢気にレーシングカーを引っさげて、「俺に挑戦したいヤツがいたら、挑戦にのってやるぜ」と挑発。悔しがるレオドルは素晴らしいレーシングカーの設計図を持っているのですが、足りないものはお金。そんな彼を見て、ソランが一計を案じ、見事(怪しげな)スポンサーを獲得。レオドル、ソラン、ルドヴィクが1年をかけて、「イル・テンポ・ギガンテ号」を完成させます。そして、運命のグランプリレースの日、勝敗はいかに?

それまではビデオでしか見たことがなかったので、改めて、映画の迫力とディテールてんこ盛りに圧倒されました。
レオドルのセーター柄、家のインテリア、ローズマリー模様の家具、サラミの乗っかったオープンサンド、実在する新聞Dagbladetも一瞬うつります。あと、吟遊詩人が授与される「放浪奨学金」も、何だかtypisk norsk!

どうやったら、こんな映画が作れるの?
どうやったら、こんな風に人形を動かせるの?
きっと見た人みんなが、抱く疑問でしょう。

監督のIvo Caprino(イーヴォ・カプリーノ)がどうやって、この人形アニメ映画を撮影していたかを読む機会がありましたが、エピソードの宝庫でした。
原作者Kjell Aukrust(ヒェル・アウクルストゥ)との出会い、テレビ番組制作の失敗からめげずに5年をかけて映画化を実現、PRのために、実大のイル・テンポ・ギガンテ号を作ってしまったこと、その車と共に、11カ国を歴訪。日本にも来ていたんですね〜。
あと本編の技術を担当していたのが、Bjarne Sandemose(ビァルネ・サンデモーセ)。そう、あのAksel Sandemose(アクセル・サンデモーセ、有名な作家)の息子さんだったんですね〜。横暴なパパにめげず、立派に育ったんだな〜と感慨深かったです・・・って、私は何歳?
しかも、声優だって豪華な面々。あの大女優Wenche Fossも怪演してます。

苦労した撮影シーンのエピソードも感動しました。
特に、ジャズバンドの演奏シーン。楽譜通りに各人形の指が楽器に置かれている・・・?
最後のレースシーン。秘密の撮影テクニックで、各車を後ろから文字通りおっかけ状態・・・?

ともかく、「百聞は一見に如かず」ですね。
ぜひ、映画館でこの「愛され映画」を鑑賞して下さい。

ちなみに私のお気に入りキャラは、ドジで臆病で悲観的なルドヴィク。自分と重ねてしまいました。私見では、Yoko管理人は敏捷でピンチに強いソラン似でしょうか・・・?

乗ってみたい!イル・テンポ・ギガンテ号(C)1977 Caprino Filmcenter A/S. All Rights Reservered
オフィシャルページ http://www.pinchcliffe.com/
ピンチクリフ・グランプリ オフィシャルページ

2006年3月15日(水)
映画「かもめ食堂」

「オール電化住宅」のような響きを持つ、「オールフィンランドロケ」映画、「かもめ食堂」を観にいきました。
かなり混雑していると、上映館「銀座シネ・スイッチ」のHP→混雑状況に載っていたので、初回10:10鑑賞を目指しました。それでも映画館の前は長蛇の列・・・・。
「スローライフ」テイストの映画を見るために行列をするのは、何となく反スローライフな気もしてきましたが、ここは東京。人口密集地に生きる者にとって、いたしかたないことなのです。


映画「かもめ食堂」は、くすっと笑えるエピソードがたくさん登場します。
舞台となる「かもめ食堂」に初めてやって来たお客さんは、日本マニアのフィンランド青年。
彼は赤塚富士夫の「ニャロメ」のTシャツを誇らしげに着て、小林聡美演じる店の主人に、「ガッチャマン」の主題歌「だれだ〜、だれだ〜、だれだ〜」の続きを歌ってくれとせがみます。これが結構、続きが出ないものなんですね。分かりそうで分からない。


また、「かもめ食堂」は最近流行りの「お寿司」ではなく、普通の「おにぎり」がメインメニュー。私たちにとっては当たり前のおにぎりでも、フィンランド人のお客さんたちにとっては、お初もの。静かな好奇心、異文化を理解しようとする優しいまなざしで「おにぎり」を凝視します。
フィンランド人は、とても大人なんですね。


ノルウェーに留学中、現地の日本人の方たちとよく「どんな商売をノルウェーで始めたい?」と、話題にしていました。
「お好み焼き屋」「居酒屋」「焼肉屋」などなど、飲食関係ばかりが挙がっていたような・・・。また、しょっちゅう食べ物の話ばかりしていた記憶があります。
「かもめ食堂」も、映画のメインはおいしい食べ物。ヘルシンキの中で、食堂の和食(豚肉のしょうが焼き、焼き鮭など)は違和感なく溶け込んでいました。

短い旅行ではなく、ちょっと長く滞在してみたい。

ホテルではなく、普通の家で暮らしてみたい。
おしゃれなお店で、楽しく働いてみたい。
この映画には、面倒くさいビザの手続きや、税金の申告は一切登場しません。
「おとぎ話」のような、といっても、ディズニー映画とはかなり違う余韻を持つ素敵な日本映画でした。

 オフィシャルページ http://www.nikkatsu.com/movie/official/kamome-movie/

かもめ食堂はもっと裏通りにあります
2006年3月8日(水)
今、ノルウェーで話題の職業といえば。。。

「高校教師」でしょうか。
映画収益や本のベストセラーランキング上位に踊る「高校教師」の文字。
日本でも流行りましたね〜。ドラマ「高校教師」。
ノルウェーの「高校教師」と、日本の「高校教師」は内容がかなり違うようです。

ノルウェーの「高校教師」は、正式名が「Gymnaslærer Pedersens beretning om det store politisike vekkelsen som har hjemsøkt vårt land」という非常に長いものです(日本語にすると高校教師ペーデシェンの手記によるわが国を苦しめた大いなる政治的覚醒」でしょうか。。。)。
本サイトで何回か取り上げている作家、Dag Solstad(ダーグ・ソルスター)が1982年に発表した小説ですが、先ごろ映画化され、再び話題を集めています。
あまりにタイトルが長いので、映画名は単に「高校教師ペーデシェン」で区切りました。きっと誰かが知恵をつけたと思われます。
評論家の評判も観客動員も好調のようです。

当然のごとく映画は未見ですが、かつて作家自身も経験した60年代末の左翼運動とそのシンパたちが作品のモチーフです。今でも発行されている新聞Klassekampen「階級闘争」を手に、「新聞取りませんか?」と家々に販促活動をしていたそうです。主人公のモデルと言われる男性のインタビュー記事を読んだのですが、彼は現在も新聞勧誘活動を続けているとか。映画化をきっかけに、運動の「総括」特集が活発に組まれています。

映画化を受け、まるで「角川商法」(古い。。。)のように、原作本が装丁を新たに販売。本の売れ行きも順調で、「資本主義者!」と昔の仲間から非難を受けそうな作家Dag Solstadであります。

「高校教師」がノルウェーを席捲している一方、「ノルウェー人がなりたくない職業」と名指しされたのが、「タクシー運転手」です。
3月7日付のDagsavisen「ダクスアヴィーセン」によると、昨年、オスロの外国人(または移民を親に持つ)タクシー運転手の割合が95%までになったとか。特に多い出身国が、パキスタンとソマリアだそうです。
「給料が安くて、ノルウェー人は運転手になりたがらない。外国人も他の仕事をしたいけど、見つけるのは無理だ」とインタビューに答えるパキスタン人のタクシー運転手。
確かに、オスロでのタクシー体験を思い出すとうなずける調査結果です。でも日本では、外国人が運転するタクシーに乗り合わせたことがありません。

まだ読んでいない原作本。。。
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