夢ネット特選インタビュー
ノルウェーのスペシャリスト

「日本ではノルウェーはマイナーで・・・・」
そんな言葉を良く耳にしますし、実際に口にもするのですが、それでも仕事や趣味、学習などの分野でノルウェー通として活躍されている方々がたくさんいらっしゃいます。
ここではノルウェーに携わる多方面の方々の生の声を、インタビュー形式でご紹介していきたいと思います♪
 
  北欧総合情報サイト「北欧区」編集・ライターKayokoさん(15.07.14)

プロフィール
Kayokoさん:北欧総合情報サイト「北欧区」hokuwalk.com 編集・ライター

広告制作会社を経て、1999年に北欧4ヶ国を訪問、2000年に会社を設立。北欧のニュースや情報を配信、ガラスを中心とした雑貨を紹介するサイト「Marble-Plus」を立ち上げる。のちに「北欧区」としてリニューアルし、ニュースや情報を配信するメディアに特化。ライターとして雑誌記事を担当することも。
2010年にアクセサリー専門ショップサイト「Koruja Matka」をオープン。主にイベントや広報的な部分をゆるりと担当。

インタビュア
ノルウェー夢ネット 青木順子

サロンやイベントもろもろ、告知でお世話になっている「北欧区」さん。
SNSやブログでも多くの北欧に関する情報提供をして下さり、ありがたいことこの上ない存在です。でも「北欧区ってどんな人が関わっているの?」までご存知の方は少ないのでは?と勝手に推測し、無理を言ってインタビューに応じていただきました。
場所は、FUGLENとのコラボレーションによる表参道の「INTERSECT BY LEXUS」で行いました~。


キュッパのびじゅつかん展にて実は、北欧区さんの前身であるMarble-Plus(マーブル・プラス)がスタートされたのは2000年ということで、ノルウェー夢ネットと同じ年です。そもそもなぜ北欧に興味を持たれたのですか?

きっかけはいたって単純で(笑)。
スウェーデンのガラスデザインの展示を見て、なんて無駄のないシンプルで美しいデザインなんだろう、と惹かれたことです。そして、こういうものを作る国はどんなところなんだろう?と興味を持ったのですが、なにせ情報が少ない(笑)。
そこで、1999年に北欧4か国(アイスランドを除く)を訪れてみることにしたんです。帰国後、もっと北欧について自分たちも知りたいし、情報を発信して、いろいろな人に共有してもらいたいと思い、“Marble-Plus”を立ち上げました。

メルマガの配信はいつからスタートしたのですか?

調べたのですが、なんと2000年の今日!
7/14にノルウェーのニュース配信が記念すべき第一号なんです!(二人して拍手)

2007年に「北欧区」と名前が変わりますが、そのあたりの経緯を教えていただけますか?

旧サイトはネットショップ機能と情報を備えたものだったのですが、2007年に“北欧区”と改名し、メディアに特化しました。2009年にブログを開設、2011年にはFacebookとTwitterを始めました。
北欧区を通じて知り合えた、などを聞くと嬉しいですね。それは目標でもあったので。ご縁ご縁でここまでやってきました。
ただ当初は、まだまだ“ウェブ媒体”というものが確立していなかったため、“誰でもできる”と思われがちな媒体で、ちょっと辛い時もありました。ここ数年でかなり変わってきたと思います。

北欧ブームは何と言っても映画『かもめ食堂』(2006年)が大きかったですか?

『かもめ食堂』の存在は大きいですよね。あの映画によって、北欧・フィンランドがグッと近く感じるようになったのではないかと思います。
フィンランドの話題はとても人気がありますね。でも、フィンランド人自身も日本でなぜフィンランドがブームなのか不思議みたいですよね(笑)。他の北欧人も不思議がっているみたいですけどね(笑)。

イベント数も何もかも2000年と今では全然、違いますよね?

ケタ違いですよね(笑)。本当に驚いています。あんなに探すのが大変だったのに(笑)。
新聞や大手ニュースサイトでも北欧のイベントやニュースが取り上げられていますよね。北欧区でも取材のご依頼、ご案内をいただけるようになり、嬉しいですね。

あまりのイベントや取材の多さにスケジューリングが大変なのでは?と思ってしまいます。

大変ですが、子どもとの時間、家族との時間を大切にしたい、と思っています。これは北欧人から学びましたね。

数多くの取材経験がおありですが、印象的なエピソードがあれば教えてください。

来日した人とのインタビューで、自分で調べた背景や知識と、その人が語ったことが繋がったときに、すごく喜びを感じます。
例えばノルウェー関連では、ノルウェーデザイン展“Norwegian Icons”の開催時に“ノルウェーのデザインが現在、他の北欧諸国に比べて目立たないのは、石油の発見が大きな理由。そこから国が力を注がなくなり、人々はあくせく働く必要がなくなった”という話を聞いて、なるほど!と腑に落ちました。
それまでノルウェーのイベントの取材があまりなかったのもありますが、ここでノルウェーと日本のつながりや、ノルウェー史を垣間見ることができ、ノルウェーを身近に感じることができた取材でした。

記事やSNSを通じて、心がけていることを教えていただけますか?

記事に関しては「誠実で、ていねいであること」を心がけています。
SNSでは、エンタメ的な要素、ライブ感を出すようにしています。例えば、読者の方がその日何か不快ことがあっても、北欧区を見ることで気分が変わり、ホッとしたり、楽しめるものであったら。北欧人のユーモアを見習ってウィットや可愛いユーモアも入れるようにできたらいいですね。

夢ネットもTwitterを初めて気づいたのですが、北欧区さんは震災や戦争など節目節目で、追悼のTweetをされていますよね。

実は、Twitterを始めて1か月後に2011年の震災が起きたんです。
Twitterを見ても何をTweetしていいか分からず、しばらく休みました。ただ、発信すること、読者の方に向けて継続すること、風化させないことの大切さは感じています。
なので、ノルウェーの連続テロが起きた7/22も忘れないようにと思っています。

北欧区さんは北欧5か国を網羅しているということで、ざっくばらんに各国について語っていただけますか?ではアイスランドからお願いします!

まだアイスランド人には、1人か2人しかお会いしたことがないので、あまり分からないのですが、ユーモアのセンスにバイキング魂を感じました(笑)。“妖精の存在を信じている”という人の割合が多いと聞いたことがあるので、現地取材をしてみたいですね!
あと、アイスランド関係のことをSNSなどで発信すると、愛好家の方々のアイスランド愛を感じます。

デンマーク、スウェーデン、フィンランドは?

デンマークといえば、明るくて楽観的なイメージがあります。世界中から幸福度も高い国と言われてますよね。
スウェーデンはやはり、北欧の“アニキ分”でしょうか。ノリが良くてフレンドリーなイメージ。ロイヤルウェディングに象徴されるような華やかさがあり、街のカフェや店員さんが揃いに揃って俳優さんやモデルさんのようで。“平等と権利”を大切にするイメージもあります。
フィランド人は不思議と繋がっていくんですよね。それでまた次の取材へと広がっていくような。寡黙な方もいれば、ゆっくりわかりやすく話してくださる人も。魅力的な見せ方、マーケティングが上手ですよね。
北欧の方は皆さん、目をじっと見て、ゆったりと話を聞いてくださる方が多いという印象があります。]

では、ノルウェーをお願いします!

ノルウェーに行ったときの印象ですが、女性のタクシー運転手さんが多くて驚きました。
いろんな人種の方がいましたね。カフェで“コーヒーください”と英語で言っても反応がなく、どうしようかと思っていたら、ちゃんとコーヒーが出てきて(笑)やはり現地の言葉も勉強しておくべきだったと反省です。
他には、ケバブとイタリアンのおいしいお店がありましたね。ピザが美味しかったあのイタリアンのお店はまだあるのかな・・・(遠い目)。

ではノルウェーへ愛あるダメ出しをお願いします!

そんなダメ出しなんて言える立場じゃないですよ~(苦笑)。
私が知らないだけかもしれませんが、あまりノルウェーに関するイベントが多くないので、これからもっと増えるといいなと期待したいです!(取材もぜひお声がけください!)
日本では、ノルウェーはFuglenを筆頭にコーヒーのおいしい国というイメージがつきましたし、絵本キャラクター「キュッパ」は、ノルウェーを知ってもらう入口になるのではないでしょうか?もうすぐ開催される“キュッパのびじゅつかん”の鑑賞券プレゼントを北欧区で実施したのですが(注:取材は開催前)、意外に男性からの応募が多くて驚きました。アート性のある参加型企画展というのが、男性へのアピールに繋がったのかもしれませんね。

korujamatka.com
では、手がけていらっしゃるアクセサリー専門セレクトショップ「コルヤマトカ」さんについてもお話しいただけますか?

これもまたつながりから生まれたものなのですが、北欧区を通じて知り合った方が弊社に声をかけてくださったのがきっかけです。
今日、青木さんも付けて下さっている“ケアリングハンズ”は、ウガンダの女性たちが再生紙で作ったアクセサリーを販売するという、フィンランド人女性が立ち上げた自立支援プロジェクトから生まれたフェアトレード商品なんです。
アクセサリーは小さいけれども、表現できることは大きいです。考え方に共感し、今に至ってます(こちらのサイトから詳細がご覧になれます。)。
ネットショップと同時に、イベントにも出店していますが、新しい物や人に出会えるのが刺激的で楽しいですね。商品の向こう側に人がいる、と実感します。
これは取材でも感じることですが、そのデザインやモノが生まれた背景、その街や国に暮らす人を知りたいという気持ちが原動力となり、北欧区やコルヤマトカに繋がっているのだと思います。

本日はお忙しい中、どうもありがとうございました!



korujamatka.com 北欧区
  HP: http://www.hokuwalk.com/
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 アクセサリー専門セレクトショップ 
  「Koruja Matka(コルヤマトカ)」

  HP: http://korujamatka.com/
  Twitter: http://twitter.com/korujamatka
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インタビューを終えて

北欧区のKayokoさんは、いつ会ってもニコニコと優しい雰囲気ですが、今回、じっくりお話を伺い、「まさにKayokoさんの優しく前向きな性格が北欧区さんとコルヤマトカに反映されている!」と感じました。また「読者との信頼関係」を強調する真面目なお人柄が現在の北欧区を支えてきたのでしょうね。
Kayokoさんは雑誌のライターとしても活躍されていて、八面六臂の活動ぶりで、怠惰な私からすれば「眩しい!」存在です。なお、コルヤマトカは、出店問い合わせに関してVelkommen!(=ようこそ!)だそうです。ぜひ、素敵なコルヤマトカの商品に実際に触れてみませんか?
これからもますますのご活躍をお祈りいたします!(Aoki)

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  在日ノルウェー商工会議所専務理事ミカール・ルイス・ベルグさん(15.04.14)

プロフィール
Michal Louis Berg(ミカール・ルイス・ベルグ)さん: 
   在日ノルウェー商工会議所専務理事
   ライフスタイル情報誌「Style Norway」編集長


2001年-04年:ノルウェー、オーレスン大学ではExports marketingのBAを取得
2007年-08年:日本、上智大学国際教養学部、日本語を勉強
2009年1月~7月:研修生としてノルウェー王国大使館勤務
現在は、在日ノルウェー商工会議所専務理事、ライフスタイル情報誌「Style Norway」の編集長を務める。

インタビュアーはfrosk編集人こと青木順子
ほかノルウェー語レッスンの生徒さんにご協力をいただきました!



ノルウェー人の父と日本人の母を持つMichalさん。ノルウェー語と日本語どちらの言葉で育ったでしょうか?

笑顔が素敵なミカールさんほとんどノルウェー語でした。父は船員で家を長い間空けていることが多かったため、母はあえてノルウェー語を使うようにしていたみたいです。その当時のノルウェーでは現在と言語に対する意識が違っていて、一ヶ国語重視でした。今は状況が変わって、二ヶ国語か三ヶ国語出来る人もいますね。

日本に住むようになって何か驚いたことはありますか?

私が日本に住むようになったのは9年前からです。1歳の時は1年間、日本にいました。その後、毎年1回は日本を訪れていたので特に驚いたことはありませんでした。

故郷オーレスンの魅力を教えてください!

ノルウェーのほとんどの町は自然や景色が素晴らしいですが、オーレスンはインターネット上で「ノルウェーで最も美しい町」と言われるほど素敵な所なんですよ。
特にアールヌーヴォー様式の建物が有名ですね。1900年代初頭にオーレスンで大規模な火災があり、木で作られた家々は焼け払われてしまいました。それを建て直す際にアールヌーヴォー様式を取り入れたというわけです。その当時たくさんのノルウェー人がフランスのパリで建築の勉強をしていて、その人たちがオーレスンに来てインスピレーションを与えたそうです。
このアールヌーヴォー様式の建物がとにかく美しい。ベルゲンも美しい町ですが、あそこは木造建築ですよね。オーレスンはまた一味違う美しさを持っているのですよ。
オーレスンは険しい山々とフィヨルドが多く存在する地域です。どうしてそんなところで生活しようと思ったのか、不思議に思うかもしれませんが、皆何かしら工夫して生きてきたのです。
今では家具の工場や造船所がたくさんあって、ノルウェーから世界へと発信するものづくりの町となっています。実は、日本で売られているノルウェー製の家具のほとんどはオーレスン周辺で作られています。

ノルウェーにはたくさんの方言がありますよね。Michalさんは自分の方言に誇りを持っていますか?

はい、誇りに思っています。方言は、何だかわくわくするようなものですね。どこから来た人なのかが分かるし、とても心地よい。オスロに仕事や勉強のために地方から集まってきた人たちも各々の方言を話していますよ。
日本の人たちももっと自分の持つ方言を表に出してもいいと思います。その方がその人が持っている個性をより感じられるのではないでしょうか。

ノルウェーで日本語を習う機会はありましたか?

ノルウェーで日本語を習ったことはありません。実は日本に来て大学で約1年間学んだだけです。母とは家で少し日本語を話すことはありました。

日本で生活をしていて大変だったことはありますか?

生活で使う日本語と大学で学ぶ日本語の違いには戸惑いました。今、家族と北千住に住んでいるのですが、そこはいわゆる日本の下町で、日常に使う言葉が飛び交っています。つまり、「お堅い言葉」ではないってことですね。
大学の授業では「です」「ます」をつけての会話でした。なので、買い物に行ったときに使われている言葉と自分が習った言葉との間に大きなギャップを感じました。

東京以外で行ったことがある場所は?

実はそれほど多くありません。ですが、サイクリングが好きなので、東京から那須高原まで自転車で行ったことがあります。夜に宇都宮に到着して、せっかく餃子が名物だから餃子を食べようと・・・餃子にはビールがつきものですよね。その夜は宇都宮に泊まって、翌朝、那須に向けて出発しました。将来は日本を北から南まで自転車で縦断するのが夢です。

大使館研修生、在日ノルウェー商工会議専務理事、そしてStyle Norwayの編集長とキャリアアップを続けるMichalさん。仕事をする上で大事にしていることはありますか?

一番大切なのは、人と会って話をすることですね。あとは、社交性を持つことでしょうか。それは大使館で研修生をしている時に学びました。そこでたくさんの人に出会い、商工会議所の人との繋がりもそこで出来ました。私はノルウェーと日本両方のバックグラウンドを持っていることもあって、ノルウェーと日本に関係する仕事に就きたいと前から思っていました。ノルウェーと日本の関係は小さいものですが、自分は環境に恵まれていました。幸いなことに好きなことで仕事ができています。
そう、今やっていることは好きなことなので、お金のためにやっているわけではありません。
ノルウェーや他の国々でもそうだと思いますが、どんな小さな仕事でもやってみます。つまり、「経験」が大事だということです。
私も最初はパートタイムの扱いでした。というよりも、仕事量に見合うだけの収入ではなかったです。
それでも、それが私にとって重要な出発点であったことは間違いありません。その後仕事ぶりが認められて、任されることも増えていきましたからね。

日本人とノルウェー人に対して何かアドバイスのようなものはありますか?

何か新しいことに挑戦することが一番大事ですね。世界の色んな国を旅したり、自分と違う価値観や習慣を持つ人と会って話をしたり。とにかく、新しく何かをすることを恐れないことです。
あとは、自分の意見を持つこと。これも重要だと私は考えています。

どうもありがとうございました!



インタビューを終えて

今回のインタビューはいつもと趣向を変えて、ノルウェー語の生徒さんと一緒にミカールさんのインタビューに臨みました。ですので、質問部分と答えはノルウェー語と日本語が混ざっています。なかなかノルウェー語を日本で使う機会がないので、こうした「課外授業」はまたやってみたいです!
そしてミカールさんは、私の希望を聞いてくれて、とても聞き取りやすいノルウェー語で話してくれました。日本とノルウェーの架け橋として働いているミカールさん、これからもご活躍をお祈り申し上げます!(Aoki)

★ミカールさんと一緒にやった過去のイベント「ノルウェー語にトライ!」のレポートはこちらです♪

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【03】

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