2000年8月〜9月の日記

2000年8月2△日

今日から保育士アシスタントコースに16週間通う事になりました。コースの内容は子供の歌、遊び、実習などの実技的な事と年齢別発達の仕方、指針などの理論的な事。実習は合計6週間。今から緊張!

このコースに通うきっかけは日本で保育士をしていた経験を生かせたらいいなあ、と思っていたから。こっちの保育園では保育士の資格を持っていなくても直ぐにアシスタントとして働けるのですが、言葉の問題などから自信がなかったのでまずはここの保育園社会に慣れる為に始めました。

区切り線

2000年9月○△日

今日から慣らし実習がスタート。これから5週間にわたり週1回保育園でお世話になります。実習園は近所にある公立保育園で、3歳以下のクラスに入りました。園全体が縦割り保育で、私が入ったクラスも1歳から3歳までの子供が全部で10人(定員12人)。それに対して保育士1名、アシスタント2名が付いていました。

緊張している私にまず挨拶のあらし。1人のアシスタントについて園全ての保育士、アシスタントに握手をして回りました。名前も聞いたけどその場ですぐに忘れてしまった。カタカナ名は難しい。

そしていよいよ子供たちと御対面!かわいいー!午前中は室内遊びで皆自分の好きなおもちゃを見つけては遊んでいました。ブロック、お人形、本、滑り台など。自分の欲しい物がないと私達に要求してきます。
中には自分の家から持ってきたおもちゃで遊んでいる子もいました。ちなみにお昼寝の時も自分のお気に入りヌイグルミを抱っこして寝ている子が何人か・・。やはり自分のお気に入りは安心感を与えてくれるのでしょう。この事を衛生上禁止していた私が勤めていた日本の園( 以下A園 )とは大違い!

区切り線

2000年9月2X日

お食事の時。食事内容は周りの人に聞くと各保育園によってかなり違うみたいですが、実習園でのお弁当、おやつは各自持参でした。( 牛乳、ジュースは園で準備 )朝早く登園する子は朝食分から、そして昼食分、おやつ分をお弁当箱に入れて持ってきます。プラス、皆で昼食後に食べる為のフルーツ( 全員 )とおやつのヨーグルト( 希望児のみ )も持ってきます。

ノルウェーのお弁当と言ったらサンドウィッチ!と、言っても日本のサンドウィッチ様ではなくパン1枚の上に何か具を1枚乗せたもの。かっこ良く言えばオープンサンド。具はたいていチーズ、ハム、レバーペースト、チョコレートスプレッドなど。サンドウィッチとサンドウィッチの間にはマートパピールと言う紙をはさみます。それが2又は3食分1つのお弁当箱に入っているわけです。夏に食中毒を起こさないのか心配でしたが大丈夫みたい?。ちなみにサンドウィッチとヨーグルトは冷蔵庫で保管。

あと毎日同じお弁当でみんな飽きないのかな??とも思いましたが、ノルウェー人にとってのこのお弁当は世界一おいしいもの!で飽きないそうです。私の主人も毎日同じお弁当、サンドウィッチを持っていきますが、飽きないとの事。反対に日本に遊びに行った時はチーズ、それもノルウェー特産の茶色のちょっと甘いチーズが恋しくなるそうです。

区切り線



2000年10月の日記


2000年10月○X日


よほど寒くない限り午後、お昼寝の後は外遊び。まさに野性児状態で遊ぶ子供たちを見ると“ あー、なんて自由で子供らしいんだろう。”といつも感心しました。こっちは天気に関係なく外で遊びます。諺にもなっていますが、悪い天気はなくそれは洋服次第、と言うわけで、天気に合った洋服を着れば良いそうです。

これまでの実習期間中運が良いのか悪いのか晴れの日は数えるぐらいしかなく、とにかく毎日雨。でも子供たちは上下レインコートに身を包み、長靴をはいて水溜まりで泳いだり泥水を集めたりして頭のてっぺんから足の爪先までまさに真っ黒になって遊んでいました。保育士とアシスタントは?もちろん、天気に合った洋服を着て外に出ます!

区切り線

2000年10月XX日

今日から毎日実習。

保育園の開園時間は7時半から17時まで。保育士、アシスタントはシフト制で働いています。クラスの子供たちはだいたい8時から9時ごろに登園して、4時頃までには帰ります。お迎えに来る人は人それぞれ。でもお父さんが4時前にお迎えに来たりすると“やっぱりここはノルウェー。男女平等の国なんだな”と実感。日本のお父さん達がこんなに早くお迎えに来るなんて、まず考えられないですよね?!こういう面はいいな、と思います。

区切り線

2000年10月X△日

万国共通、遊びの中でごく普通に喧嘩も起きます。たいていおもちゃの取り合い。でもこっちの子供たちはまず‘譲る’という単語を知らないみたいです。早い者勝ちというか、弱肉強食というか・・・。“はい、どーぞ”と言う会話は今まで聞いた事なし・・。小さなカルチャーショックです。

区切り線

2000年10月X○日

今日はMちゃんとAちゃん(2人とも2歳)が1つのおもちゃを取り合って大喧嘩をした。最後はAちゃんがMちゃんのほっぺを思いっきり爪で引っかいておしまい。Mちゃんは大泣きし、ほっぺにも1本の真っ赤な筋が残りました。Aちゃんはアシスタントに促されて“ごめんなさい”って言っていました。

そしてMちゃんのお迎えの時。Mちゃんの第一声は“Aちゃんにやられた!”。お父さんは“  そうか、やられちゃったのか、あっはっはっー ”で終わり。もちろんアシスタントや保育士から報告もあります。が、A園では子供同士がおもちゃの取り合いなどで争って怪我をした時、とにかく保護者に平謝りでしたし誰と争ったかも絶対言いませんでした。それに比べれば随分さっぱりしています。

区切り線




2000年11月の日記


2000年11月XX日

たまには違う楽しみを!と言う事で今日はマクドナルドまでお散歩する事になりました。歩いて20〜30分の所にあるマクドナルドに行って、そこでフライドポテトとスプライト( 昼食代わり、費用は保護者から各学期毎に散歩代として集金した中から出される )を食べ、子ども用遊び場で遊び、子供たちは大満足でした。
が、私はその姿を見て複雑な気持ちで一杯でした。一番小さい子は1歳半。その子も含め全員が普段から食べ慣れているのか、とても上手にフライドポテトにケチャップをつけて食べていて・・・。しかもいつもサンドウィッチを食べる時の倍の早さで!私は自称健康おたくなのでこんなに小さいうちからジャンクフードを食べているのがとてもショックでした。

ノルウェーの食文化が貧しいと言うか、料理にあまり関心がないとは感じていましたし、ノルウェー人は平日は料理を作らず冷凍食品を温めるだけとも聞いていましたし、学生寮では外国人の学生しか料理をしない、ノルウェー人学生は毎日冷凍ピザ、とも知っていまし、子どもに対しての躾が甘いというのも知っていましたがショックです。私もフライドポテトはおいしいと思いますが食べ始める時期ってあるのでは??と思いました。

区切り線

2000年11月2X日

今日で実習最後の日。あっという間の6週間でした。私もやっと園の流れに慣れてきたのに、またクラスの子供たちも私の名前を覚えてきたのに終わってしまうのが残念。

最後の昼食の時。アシスタントの人達がアイスクリームとクッキーで小さなさよならパーティーをしてくれました。子供たちはなぜアイスクリームがあるのかわかっていなかったけれど、大好物が出てきて大喜び!!私は花束まで頂いてしまって大感動!!精神的にもとても充実した実習になりました。

区切り線

最後に、ノルウェーは福祉国家として名高いですが保育園の条件は悪く、保育士、アシスタント達がよくストライキを起こします。それでもあまり改善されません。特に労働条件に比べお給料が低いので保育士希望者も年々減ってきているそうです。

アシスタントとしては誰でも働ける、というのも曲者で、子ども好きな人が来てくれれば良いのですが中には‘お金がもらえればどんな仕事でも良い’みたいな人もいるみたいです。ですからまれに幼児虐待や性的虐待が起きてしまうとも聞きました。悲しいですね。将来、私が保育園で働くようになったら保育園の改善までとはいかなくても子供たちが保育園で楽しく過ごせるように努力したいと思います。


区切り線



ホームへ戻る
Home