![]() ■イベントレポート・ブログ転載■ 上野で体感!『キュッパのびじゅつかん』@東京都美術館」 (2015年7月18日) |
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~前篇~ 1冊の絵本がここまでの世界に広がるなんて・・・・という感慨にひたれる企画展『キュッパのびじゅつかん』@東京都美術館の魅力を、お得意の引っ張るブログでご紹介します♪ 私はYoko管理人とともに、開催日前日の7/18の内覧会にお邪魔しました。 1冊の絵本を素晴らしい企画展に完成させたのは、同美術館学芸員の稲庭彩和子さんのご尽力が大きいと知っていましたが、カタログには稲庭さんの熱い思いが原稿のすみずみから伝わってきます。内覧会も稲庭さんがガイダンスをしたのですが、カタログには企画展をより理解できる文章がたくさん載っているので、幾つかご紹介しましょう(このカタログは絶対に買うべきです!!)。 稲庭さんは、『キュッパのはくぶつかん』を読んで感じたのは、欧米圏でよく販売されているミュージアム絵本との違い。「ひたすらキュッパ自身の好奇心と行動力で博物館が出来ていく話である。この物語設定の突き抜け感はここにある。」とのこと。確かに絵本を読み直すと、まさにそうなんですよね。 作者オーシルさんの上野滞在(2015年2月)にも触れられ、上野の公園と博物館の中などをゆっくりと観察して歩き、木の葉や小枝、石を集め、机にならべていくオーシルさんの行動がつづられています。稲庭さんは「物を並べて眺め見る行為は、自分と自分を取りまく世界とのコミュニケーション方法のひとつ」と書かれていますが、この「コミュニケーション」は今回の企画展のキーワードでもあります。 企画展の作品の共通点は、「物をあつめ、並べ、見つめることが含まれている」と紹介され、最後に「“キュッパのびじゅつかん”は生まれた日から変化していく、参加型の展覧会。参加した人が何を見つめ、何を体験したのか、それらが積み重なって展覧会が出来上がっていく」という企画展のあり方がまるで「宣言」のように響きました。 この企画展のサブタイトルは「みつめて、あつめて、しらべて、ならべて」。とてもそのタイトルに忠実な展示です。 さて、文章を内覧会当日に戻すと・・・。ところどころに可愛い、そしてこだわりの仕掛けが目を引きます。 まずは「キュッパ」の生みの親であるオーシル・カンスタ・ヨンセンさんの展示「キュッパの部屋へようこそ」。内覧会当日、オーシルさんはフォーマルなショートワンピースを着用されていましたが、実はとある秘密が・・・(自主規制)。いつもと同じ笑顔で迎えてくれました。「東京の暑さは大丈夫?」と聞いたら「初日は“ワオーっ”て感じだったけどもう平気」と元気です。 キュッパの部屋には、様々なモチーフの緻密なスケッチ、オーシルさんの私物である家族の写真、妹さん作の絵本などに交じって、「UENO OBJECTS」という摩訶不思議な細密画があり、目が釘付けになりました・・・!オーシルさんの目を通したUENOは必見ですよ~。キュッパが描かれた壁画も要注目~。最初は鉛筆で描かれたそうですが薄い、と判断されてペンで描き直し・・・。一緒に来日された妹さんが作業を手伝ったそうで、ぜひ壁画を凝視してくださいね~。 今回の企画展では、日比野克彦さん作の「bigdatana―たなはもののすみか」が観る人すべてを驚かす巨大インスタレーションが「体験」できます。岐阜のヒノキを使った木の巨大な棚と階段・・・階段に上がるときは、まるで子どもの時に感じたようなワクワク感が体感できます!またたくさんの木箱に「HIBINOからの5つの指令」と書かれた紙が置いてあり、まさに「体験型」のアート体験を満喫できる仕掛けになっています。 さらにさらに・・・ 小山田徹さんの「浮遊博物館2015」も、ぜひ案内の人に解説してもらうかカタログを読んでからの鑑賞をおススメします♪とてもツボにはまる展示でした。他にも国内外の作家や博物館・コレクションの展示があり、どれも見ごたえがあります。 つづく(はず) 追伸:「北欧区」さんが内覧会&レセプションの様子をパーフェクトに綴ったブログをUPしています。そちらもご参照ください♪
~中篇~ 引っ張りまーす! さて内覧会は終わり、レセプションは17時からでした。会場は同じ東京都美術館内です。 さてお料理。楽しみなお料理。どんな感じかな~とカメラ片手に近づくと、ユニークなお料理が並んでいます! キュッパの世界観を再現したようなお料理に感動~。 開始時間が迫り、どんどん人が集まってきます。オーシルさんのご両親と妹さんも来日中と聞いていたので、お会いできるのを楽しみにしていました。 「妹さんは?」と尋ねると、「彼女はストックホルムに留学したことがあってその時に日本人の友達ができたのよ。今日は、友達と一緒に後から来るの」と教えてもらいました。 ノルウェー大使を始め、続々と招待客が集まってきます。すごい人・・・と思っていると、ようやく東京都美術館館長⇒ノルウェー大使からご挨拶となり、オーシルさんもやや緊張した面持ちで英語で挨拶をしました。「この気持ちをどう表現すればいいのか・・・」という言葉を聞いていると、彼女が初来日した2012年を思い出しました。1冊目の『キュッパのはくぶつかん』が出版され、ノルウェー大使館でレセプションが開催。その時、オーシルさんが「どのようにキュッパは生まれたのか?」を講演してくれて、私が通訳をしました(その時のことはこちらに書いてあります。下にスクロールしてください!)。あの時、誰が、あの本をきっかけに大規模な企画展が開催されると想像したでしょう? 感無量・・・あの場にいた人の多くが感じたと思います。 その後、乾杯から一気にお料理タイムになったのですが、あのユニークなお料理はたくさんの人が撮影していました! つづく(と思います)
~後篇~ 作者オーシルさんのサイン会がある!と聞き、「これは行かないと!」と再び上野の東京都美術館へ。 キュッパやググラン、そしてオーシルさんの名前が可愛いスタンプになっています。 さて、内覧会で見た展示を、実際にお客さんが入るとどんな感じになるのかな~と興味シンシンで「キュッパのびじゅつかん」展に入場します。 墨壺コレクション、キノコの標本、タイル博物館、栗田宏一さん、岩田とも子さん、小山田徹さんの展示は、内覧会の時とまた違った発見があり、「2度来て良かった~」と感じました。 そして上から日比野克彦さんのインスタレーションを見下ろします。わ~、人が楽しそうに動いている! 「参加型」の作品なので、日比野さんからの「指令」が入っている木箱を手に取ります。 無造作に置かれている様々なモノ。 広い会場には、気になるモノがたくさん並んでいて、「う~ん」と悩むいい大人・・・。 ふふ。人の作品も見ることができて面白い!純粋に楽しめましたね。 夏休みがあるようなないような大人生活ですが(大人計画ではない・・・・)、すっかり気分は小学生の夏休み。 こんなユニークな企画展。
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